LEICA Elmar M 5cm F3.5を紹介します。
バルナック式時代の標準レンズとして登場しており、沈胴式のちょっと珍しいレンズになっています。スペックは控えめですが、その分安定した写りをしてくれるのでオールドながら安心して使えるのがポイント。一説には標準レンズ=50mmを作り出したのはエルマーだとかって話もあるくらい。
個人的にルックスに目を奪われただけで購入しましたが、予想外に安定して使えるので意外と出動回数の多いレンズになっています(笑)
目次
LEICA Elmar M 5cm F3.5 レビュー
LEICA Elmar M 5cm F3.5は、3群4枚のテッサー型です。当初はカメラに固定されていたので交換ができませんでしたが、後に交換可能になっています。1946年頃からはコーティングが開始。
戦前から存在したレンズということもあってか「無限では?」と感じるほど種類が豊富。50mmF2.8とか、デザインが違うものも存在するそうです。エルマーのコレクターも存在するってんだから沼の深さは尋常じゃない・・・
ロングセラーと言う意味では、ライカの伝統とかDNAみたいなものを感じられるそうだな~なんて思いつきで購入に至りました。後は35mmF3.5とかも欲しいよね!
気をつけないといけないのは、デジタル版では沈胴してはいけないということ。内部干渉が起こるので故障や不具合の原因になるそうです・・・
ライカのレンズはシリアルナンバーから製造年数が割り出せるのですが、本レンズは1954年製でした。エルマーはスクリューマウント(L)型が多いそうですが、僕が手にしたのはMマウントで比較的数が少ないそう。
LEICA Elmar M 5cm F3.5 外観
シルバークロームの鏡胴で、重量は200g以下ですので軽いです。ギミックの面白さだけでなく質感も兼ねそろえているところがライカらしいですよね。
生産本数は1万本を超えているそうですが、意外と実物を見る機会は少ないような・・・?まぁネットにはたくさん転がっているかもしれません(笑)
くびれが美しい・・開放はF3.5と決して明るくはありませんがスペックだけでは語れない魅力があることを教えてくれるレンズです。
フォーカスレバーを固定すると無限遠にロックします。ピントを合わせや、絞り変更時にレンズ前面が回転するので「あれレバーどこいった?」なんてこともしばしば・・・F8固定にしちゃって写ルンです的な使い方をしても面白いのかもしれません。←試したけどちょっと厳しかった(笑)
この個体の表記はfeetですが、mの物も存在するそうな。最短撮影距離は1m。
古いレンズなので状態の良いモノに出会える確率は低めかも?外観はもちろん、クモリやカビ、絞り羽根といったチェックを怠らないようにしたいところです。あとは信頼できるお店で買うことですね。
そのルックスはM型ライカ、ミラーレスカメラにつけても印象的です。
LEICA Elmar M 5cm F3.5 作例
適度なコントラストとシャープネスで、開放から安定した絵を吐き出してくれます。作例だとわかりにくいかもしれませんが、意外と背景の玉ボケもきれいな気がする・・・
オールドレンズらしい柔らかい表現ですね。
シャドー部の階調も豊かだと思います。
FUJIFILM X-E3にマウントアダプター経由で装着。しっかりと撮影できました。
目にギュンとくる鮮やかな写真も魅力的ですが、ちょっと疲れたな・・・なんて頃に持ち出してみるとホッとします(笑)
モノクロの柔らかいトーンなんてたまりませんね。生地の質感も良く出ていると思います。
よくよく考えると、LEICA Elmar M 5cm F3.5は大先輩なんですよね。ライカを手にしてから「機材に教わる」ような「対話する」ような感覚を覚えるのは、そうした背景もあるのかもしれません。
LEICA Elmar M 5cm F3.5 感想
LEICA Elmar M 5cm F3.5を紹介してきました。
個性的なルックスとは裏腹に、どこか懐かしさを感じる写真を提供してくれるレンズです。このレンズで撮る写真は、いつまで眺めていても飽きのこない作品が多いような気がします。写真の消費が早くなっている昨今、ゆっくりと風景を味わいシャッターを切り、持ち帰ったデータを味わえます。
そうしたところが、伝統や定番となってライカを支えてきたのかもしません。「もし1本を選ぶなら?」と考えた時、意外とこうしたレンズを残したくなる気持ちが少しだけわかった気がします。