Leica SUMMILUX 50mm F1.4をレビューします。
50mmF1.4と言えば、あえて説明不要の王道的なレンズ。ライカの標準レンズの中でもトップクラスの人気を誇ります。ライカにおいては「標準=普通」の構図は当てはまらず、伝説的な存在に昇華してしまうのが流石といったところ。
ズミルックスは「最高の光」を意味し、描写においても一言で語りつくせない魅力があります。決して安くはないレンズですが、これ1本あれば他のレンズはいらないのでは?と思わせてくれるレンズです。
目次
Leica SUMMILUX 50mm F1.4 レビュー
1959年に登場した初代から、現代までに続いているのはカメラファンにとっては外せない存在だから。
今でこそ当たり前になりつつある大口径レンズですが、ズミクロン50mmF2の登場からしばらくして登場したことからも当時の苦心が伺えます。前身のLマウントでは似た構成のクセノンやズマリットがありますが、こちらはシュナイダーの設計と言われています。その辺りの情報は、詳しく解説しているサイトをご覧になってください。
人の視野角に近いと言われる画角で、自然な絵作りができるのが50mmの特徴。それゆえスナップやポートレートなどシーンを選ばずに使え、ボケを生かした撮影がとても楽しくなります。
ロングセラーゆえにモデルチェンジ(世代)による描写傾向や外観のちがいもあります。僕が購入したのは比較的新しい、けれどもオールド感をぎりぎり残した3rdになります。近代的にチューンナップされたヌケの良い画質と、なんとも言えないボケの美しさに惹かれて購入しました。
ズミルックス50mm F1.4 世代の特徴と選び方
世代によって固定ファンを獲得しているズミルックス・・・どれを選べばいいの問題があります。レンズ選びの参考になるかはわかりませんが、各世代の特徴をまとめてみました。
世代 | 特徴 |
1st(貴婦人) | 1959-61年に製造された初代。シルバークロームの鏡胴が美しく、仕上がりの良さでは最上級とも言われ、その上品なたたずまいから「貴婦人」の愛称で親しまれる。柔らかいトーンでオールドレンズらしさが楽しめる。状態の良いものが少なく高騰している。 |
2nd(後期型) | 1961年に早くもモデルチェンジされた後期型。設計は初代とは異なり主にハイライト側に調整が施されたが、堅実で階調豊かな描写は維持。1969年以降はブラックに変更されるがシルバーモデルも存在する。 |
3rd(フード内蔵) | 1992-2004年まで製造。2ndとレンズ構成は同じだが最短撮影距離が0.7mになり使い勝手が向上。フード内蔵なので別途購入しなくて済むのが有難い。 |
現行(ASPH) | 現行モデルは非球面レンズを採用し高画質を実現。先鋭的な写りで主題を引き立たせる。ハイコントラスト&シャープネスで万能レンズとして究極の仕上がりを感じさせる。 |
おすすめはやはり初代の貴婦人。レジェンド的な存在で、軟調とはちがう伝統を感じる描写や仕上がりの良さは所有する喜びを味わえるはずです。ファーストステップとしてもおすすめですが、おそらく墓場まで持っていけるはず(笑)
ただ高騰化しているのと、状態の良い個体に巡り合えない可能性があるのがつらいところ。ハイライト側の描写にも好き嫌いがあるかもしれません。そんな人には2ndや3rdがおすすめです。
僕はズミルックスの前身?にあたるズマリット L50mmF1.5を所有していたこともあり、描写の使い分けの意味で現行モデル(ASPH)を購入する予定でした。しかしカメラ屋さんに何度か足を運び、色々と試させてもらった結果「なだらかなボケ味に惹かれ」3rdを購入しました。
現行モデルは、ボケがガツンと入る感じで「主題と副題を引き離す」印象を受けたんですよね。コントラストも高いので、割と力強い表現を求める方向けかなと感じました。モノクロとか相性がすごく良さそう・・・決して良い悪いの話ではなく、僕の好みとして思った感じとちがったというだけです。
Leica SUMMILUX 50mm F1.4 外観
運よく化粧箱つきの個体に出会えました。
近代的な見た目です。最短撮影距離が0.7mになったので、表現の幅が広がっているのが第3世代の特徴と言えるかもしれません。
フードを引き出した状態で記念撮影。ライカはフードだけでウン万円するので、レンズ組み込み型は地味にリーズナブルです(笑)着けたり外したりの手間がないのも良いですね。
保護フィルターと着けると、Fキャップが浮いてしまう・・・この見た目の悪さはマイナスポイントですね。
シルバーのボディにつけてみました。SUMMICRON M35mm F2ほどではないものの、フルサイズシステムとは思えないほどコンパクトです。
明るいレンズ=大きい(思い)が、現行の流れかもしれませんが、すっきりとした鏡筒や扱いやすさという意味ではライカに軍配があがるでしょう。
Leica SUMMILUX 50mm F1.4 作例
ライカらしい柔らかなトーンです。素直な写りなので安心してシャッターを切れます。
椅子シリーズ。
日常を切り取るには最適なレンズだと思います。
「ライカは光が美しい」
シャドー部の表現が豊かなせいかな・・理由はそれだけではないでしょう。なんとも言葉に言い表せない良さがあります。
ヌケ感もよく、おもわずウットリしてしまいます。
3rdを手にした最大の理由「ボケ」の一端が垣間見れるでしょうか。被写界深度はとても浅いですが自然なボケ方をしますので、何が写っているか何となくわかります。
ガラスやショーウインドゥをやたらと撮りたくなるレンズです。
玉ボケも非常にきれいで、うまくかみあった時にはとても美しい写真が撮れるはずです。これから冬場にかけて電飾が美しい時期なので楽しみです。
開放がF1.4と明るいため、少々日が落ちたくらいでは問題ありません。
空の躍動感?臨場感?が良い感じです。ただの日常をドラマチックな一瞬に変えてくれるレンズかもしれません。家宝にいかがですか?(笑)
Leica SUMMILUX 50mm F1.4 感想
Leica SUMMILUX 50mm F1.4を紹介してきました。「王道」と呼ぶにふさわしいレンズは、何十年も変わらない設計でロングセラーを続けました。
第3世代は近代的な写りをしますが、時折垣間見せるしっとりとした表情が流れてきた時代を感じさせます。描写は開放からシャープで、どんなシーンでも一定以上の成果を上げてくれるます。たくさんのレンズが世に出ていますが、本レンズは間違いなく最高峰でしょう。「一生を添い遂げても良い…」と言うのはまんざら冗談でもなく、それだけ信頼に足るレンズだと思います。
この記事で全てを語りつくすのは無理がありすぎますが、ズミルックスの魅力が少しでも伝わると幸いです。