2016年3月に登場したX-Pro2ですが、いまだに多くのファンを惹きつけています。もし「富士フイルムで最も魅惑的なカメラは?」と聞かれたら、僕は「X-Pro2」と答えます。
レンジファインダースタイルという決して万人受けする訳でも、性能面で特別優れる訳でもないカメラ。しかも発売から3年以上も経過している。それでもこのタイミングでX-Pro2を手にする意味はあると思っています。→X-Pro3をいち早く体験!Xキャラバンで写真を撮ってきました
そこでX-Pro2の特徴や魅力、気になる点やデメリット、作例も含めて徹底的にレビューしていきます。
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FUJIFILM X-Pro2をレビュー
ライカを彷彿とさせる外観はスタイリッシュで、見ているだけでニヤニヤが止まりません。
有効画素数約2430万画素のセンサーは、同社のX-T2、X-H1、X-E3などと同じもの。X-Pro2だから特別すごい写真が撮れるって訳ではありません。
それでも富士フイルムの中では最高峰のカメラの1つとされ、象徴的な位置付けで扱われています。
それはなぜか?X-Pro2が特別なカメラだからに他なりません。僕自身プライベートや海外旅行で使いましたが、大きなトラブルもなく使いづつけることができています。
X-T2、X-T3、X-H1などを購入
X-Pro2購入に到るまでにも、僕は富士フイルムのカメラを購入しています。
新しいセンサーになり、AFも進化したX-T3や、Xシリーズで唯一ボディ内手ぶれ補正に対応したX-H1などを優先的に購入しました。それはもちろん使い勝手が良いからで、普段の撮影にはこの2台があれば不満なんてありません。
それに、X-Pro2にはデメリットというか弱点もあり、当初はどうしても受け入れ難かったこともあります。僕の効き目が左目なのでファインダーを覗くとマヌケな感じになってしまうし、ファインダー自体も見やすい訳じゃないんですよね。なんなら撮影した写真と色味がちがったりしますし(涙)
発売当初は20万円近くしたこともあり、泣く泣く購入を諦めたという経緯がありました。その代わりと言ってはなんですが、スタンダードタイプのX-H1やX-T3などを使ってきました。
それでもX-Pro2を購入した理由
「使っている人を見ると嫉妬を覚える」
それくらいにX-Pro2のデザインは洗練されています。手に持っていてもカッコいい、テーブルに置いてあってもカッコいい、誰がなんと言おうとカッコいい!
もちろん富士フイルムなんだから撮れる写真だって最高だ。それは過去にたくさんのカメラを使ってきたので知っている。
性能こそ今となっては・・という面もあるものの、そんなの関係無しに「ほしい」と思わせるカメラ。春になると氷が溶ける、そんな当たり前の話と同じ感覚でX-Pro2を手にしていました。
X-Pro2の外観レビュー
開封の様子
このXの箱は・・・何度か見ているはずですが、いつでも高揚感がありますね(笑)
今回は中古での購入となりましたが、程度が良いものがお安く手に入ったので満足です。
付属品はチャージャーとかストラップとか、そのた諸々です。こちらもキレイで嬉しい。
まるで初恋をしている中学生のような心持ちで開封(笑)
所持する喜びを与えてくれるデザイン
X-Pro2のなにが良いってデザインでしょう。このレンジファインダースタイルに憧れての購入と言う人は少なくないはず。
デザインが良いカメラだと、撮影するモチベーションも上がります。それに長く使うことを考えると、愛着がわく方が良いにきまっています。なんだったら使わずにデスクに置いてあるだけで、気持ちを持ち上げてくれる魔法のアイテムです。
これは所持した人間にのみ与えられた特権であり、所有欲を極限まで満たしてくれる要素であったりもします。香港に持っていった時は、異国の地でX-Pro2を構えていただけで幸せでした。
高級感あふれるマグネシウムのボディ!堅牢性と防滴性
無骨なデザインながら、洗練された印象を与えてくれるボディ。実はマグネシウム合金を採用しており堅牢性にも優れています。全61箇所のシーリングにより防塵、防滴、耐低温を実現。どのようなシーンでも撮影できる安心感があります。
単焦点レンズにちょうどよいグリップ
あまり大きなズームレンズを使うには向いていませんが、富士フイルムの優秀な単焦点レンズを使うにはベストマッチ。写真ではXF56mmF1.2 Rをつけていますが、これくらいは許容範囲内です。
撮影中に助かるのが、一眼レフのように存在感がないことです。街中で溶け込むデザインなので、気後れすることなく写真が撮れます。
シンプルかつアナログチックな操作性
フイルムカメラのような操作性は、どこか懐かしいような感覚を撮影者に与えます。
上から見ると薄いアルミ削り出しのダイヤル類は、思い通りの操作を可能にし、適度なクリック感をもたらしてくれます。そして、なによりシャッター音が素晴らしい。とても上品で甘美。
フラットなデザインになっているので、普段のカバンにもスッと入ります。レンズを外して収納しれば場所をとらないので、2台体制で撮影に挑む時なんかに助かりました。
背面側のボタン類は右側に集中しており、片手で操作が可能になっています。X-Pro1はモニター左側にもボタンがあったため、お弁当を持つようにして両手で操作をしていました。。個人的には良い改善だったと思います。
直感的な操作ができるので、撮影が気落ちよく進みます。もちろんレフ機のような細かい設定はできませんが「X-Pro2でできないことはやらない」と割り切って撮影に挑むのがスマートに感じます。
小気味よいフォーカスレバー
新しく搭載されたフォーカスレバーは、任意のフォーカスポイントを素早く指定することができます。それにしても中古とは思えないくらいの美品。
万が一にも安心のデュアルスロット
SDカードは2枚挿しに対応したデュアルスロットです。スロット1は転送速度が速いUHS-Ⅱ企画に対応しています。RAWや連写時のデータの書き込みに重宝します。またJPEGとRAWを振り分けるなどフレキシブルな使い方も可能。データのロストを避けられます。
それほど容量を使わない人でもセカンドスロットにカードを挿しておけば「SDカードを忘れた!」なんて時の保険にもなりますね(笑)
バッテリーもちはそこまでよくない
EVF使用時の撮影可能枚数は250枚です。半日ほどしっかり撮影したらなくなるレベルです。少なくとも2個くらいは予備のバッテリーを持っていた方が良いでしょう。
ちなみにX-Pro2にオプションでついてくるのは「NP-W126」で、新型は「NP-W126S」となります。
唯一無二のファインダー
世界で唯一の「アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー」を搭載。OVFとEVFを切り替えて使えます。
EVFはシャッターを切った時の画像がそのまま記録されるので、イメージ通りの撮影ができているか確認ができます。OVFなら撮影できる範囲より広い生の画像が見えるので、決定的瞬間を収めるのに役に立ちます。
ところが、ファインダーは決して見やすい訳ではありません。個人的には見にくいといっても良いレベル・・・EVFは写真と見えている画像の色味が若干ちがうし、OVFも大きいレンズをつけるとケラれます。焦点距離の長いレンズなんてOVFでは・・・使ってる人いるの?ってレベルです。いるの??
唯一無二でインパクトはあるものの、実用性が高いとは思いませんでした。背面液晶が他のモデルと比較してきれいなので、僕はコンデジのような使い方をよくします(笑)
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X-Pro2の性能・スペック表
名称 | X-Pro2 |
有効画素数 | 2430万画素 |
センサー | X-Trans CMOS Ⅲ |
エンジン | X Processor Pro |
AF測距点 | 77点(273点) |
シャッタースピード | 1/32000~30 秒 |
連写 | 8コマ/秒 |
ISO | 200~12800 |
動画 | 4K 29.97p |
液晶モニター | 3インチ(162万ドット)液晶 |
ファインダー | アドバンストハイブリッドマルチビューファインダー |
撮影枚数 | 350枚撮影可能(OVF) |
サイズ | 140.5×82.8×45.9 mm |
重量 | 445g |
X-Pro2の作例
スナップはお手の物
X-Pro2は一眼レフタイプのカメラと比べると存在感が小さいです。この小ささで操作性も犠牲にしていないところがすごく良い!
ウエストレベルでの撮影では、チルトが欲しいこともありました。
AFはストレスとまではいかないものの、決して速くはありません。仕事での撮影や、動きの速い物には対応しきれないかもしれないけど、スナップなら偶然性に身をまかせるのも面白い。
ローパスレスらしいすっきりとした画質
一般的なベイヤー配列と違い、独自配列にすることでローパスレスながらモアレや偽色の発生を起こりにくくしているのが特徴。
X-Trans CMOS IIIに進化したことで、画素数は有効1630万画素から、有効2430万画素へと飛躍的に向上。従来のモデルよりも解像感を得られる。
海外旅行(香港)にも最適!XF35mmF1.4Rで撮影
旅行はなにも治安が良い場所ばかりではありません。特に日本人観光客はターゲットにされやすいので、注意が必要。旅行では大きなカメラを何台も持ち歩けないこともあるので、X-Pro2のフラットなデザインが助かりました。
なぜか不思議と「旅先に馴染む」カメラでもあります。ヨーロッパの街並みとかをX-Pro2で撮影できたら最高だろうな。。
夜景の撮影もOK
夜間やくらい場所での撮影もそれなりにこなせます。個人的にはISO3200くらいが上限ですが、この辺りまではあまり意識しすぎることなく使います。
風景・ネイチャーは富士の色で残したい
フィルム製造メーカーとして培ってきた「写真へのこだわり」は色に現れていると思います。フィルムを入れ替えるように使える、フィルムシミュレーションは色をコントロールする楽しさを教えてくれます。
スタンダードなPROVIAは万能ですし、ASTIAはソフトな表現にぴったり!モノクロのACROSが使えるのも嬉しいポイントです。
X-Pro2でモノクロを楽しむ
ポートレート・日常使いにも最適
「カッコいい×コンパクト×写りが良い」となれば写真を撮る機会は自然と増えます。僕も部屋のすぐ取り出せる場所に置いあるので、子供達のふとした瞬間を写真に残しています。
食事風景やお風呂、新しいことができた時、ダンボールに入って遊んでいる時、泣いている時(笑)そんな全ての瞬間は今しかないし、できることなら写真に残しておきたい。X-Pro2はそれができるカメラです。
コクのある表現も得意だと思います。ゆるい写真が好きなのでASTIAもよく使いますが、しっとり撮りたい時にはPRO Neg.Stdを使います。人肌を美しくし、柔らかい階調なので嫌味がない気がするからです。もともとはポートレートスタジオで使われていた「NS160」というプロ用ネガフィルムが原点だそうです。
X-Pro2のデメリット
- 手ぶれ補正が非搭載
- ファインダーが見辛い
- 液晶モニターが固定式
- オートフォーカスは並
- 大きなレンズはバランスが悪い
X-Pro2は致命的な弱点こそないものの、もう少しよくなればいいな〜と思う要素がたくさんあります(ただの欲張り)
手ぶれ補正はX-H1にしか搭載されておらず、X-T3にもないので仕方ない。これは諦める。大きなレンズが使いにくいのも「スタイルだから」割り切れる。でもファインダーだけは・・唯一無二とか言われると使いたくなるからもう少し精度をあげて欲しいと切実に思いました。
X-Pro2は極めて趣味性の高いカメラ
▶【カメラのキタムラ】富士フイルム X-Pro2 をチェックする
X-Pro2は決して性能がとびぬけて優秀な訳でもなく、使い勝手が良い訳でもありません。それでも使いたくなってしまう魅力をなぜか秘めています。
僕の場合ですがX-H1は防湿庫で管理していますが、X-Pro2は常に傍に置いています。それはカッコいいからで、自分のモチベーションを高めてくれるからです。もはや生活の一部のなってしまうくらい、身近にあるカメラです。
性能、スペック、価格を含めて、理性的な判断をすればX-Pro2を購入するという判断は間違っているのかもしれません。しかし、人間は感動があればこそ行動します。本能が感じるままにカメラを選べばこそ味わえる喜びがあります。そうした喜びを与える存在がX-Pro2なんだと解釈しています。
このレビューを通してX-Pro2の魅力が少しでも伝われば嬉しいです。少なくとも、これほど富士フイルムユーザーに愛されたカメラを僕は知りません。
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