ASUSのゲーミングノートパソコン「ROG Flow Z13 GZ301ZE」(GZ301ZE-I9R3050TE)をレビューします。(製品貸出元:ASUS JAPAN 株式会社)
本体のみなら1.18kgという超軽量ボディに、第12世代Core i9-12900H×RTX3050Tiを搭載!キーボードを取り外して使える2 in 1タイプですのでタブレットとしての利用も可能。さらに別売りの「ROG XG Mobile」を取り付けることで描画性能を飛躍的に高めることを可能にしています。
あまりに見どころの多すぎる機種ですが、各種ベンチマークや使い心地などをレビューしていきますので参考にして下さい。
目次
ROG Flow Z13 GZ301ZE(GZ301ZE-I9R3050TE)レビュー
ASUSのゲーミングノートパソコン「ROG Flow Z13 GZ301ZE」(GZ301ZE-I9R3050TE)です。
コンパクトな筐体に、できることを全部詰め込んだようなロマンあふれるノートパソコンです。この薄いボディにCore i9-12900Hが搭載されているのが驚きですが、各種テストでもデスクトップに負けない処理能力を見せてくれたので不覚にももう一度驚いてしまいました。GeForce RTX3050Tiですから、RAW現像や動画編集も行えますし、息抜き程度のゲームなら問題なくプレイも可能です。(ただしバッテリー消費は早め)
ROG Flow Z13 GZ301ZEの特徴をまとめるとこんな感じです。
- デスクトップ並みの処理能力
- 好みに合わせて液晶を選べる(4K/120Hz)
- キーボードを外して使える
- 薄くてコンパクト(本体約1.18kg)
- GPUモジュールでチート性能を入手可能
- 1台でなんでもできるノートPC
ラインナップ
型番 | 構成 | 価格 |
13.4型3,840×2,400(60Hz) Core i9-12900H×16GB×1TB SSD×RTX3050Ti | 269,800 | |
13.4型1,920×1,200(120Hz) Core i9-12900H×16GB×1TB SSD×RTX3050Ti | 254,800 | |
13.4型1,920×1,200(120Hz) Core i7-12700H×16GB×512GB SSD×RTX3050 | 239,800 | |
13.4型1,920×1,200(120Hz) Core i5-12500H×16GB×512GB SSD×Iris Xe | 199,800 |
どのモデルもDDR5メモリが使われているなどリッチな仕様になっています。価格差が大きくないので、とりあえず上位モデルがおすすめですね。クリエイターなら4Kモデルを、ゲーム目的なら120Hzモデルを選ぶのが良いかと思います。下位モデルは内蔵グラフィックなのでちょっとコスパが悪いかな…
ROG XG Mobile(GPUモジュール)
型番 | 構成 | 価格 |
GeForce RTX 3070 | 149,800 | |
GeForce RTX 3080 | 188,800 |
YouTube動画レビュー
動画でも紹介していますので、よければご覧ください。(高評価、チャンネル登録してもらえると喜びます)
ROG Flow Z13 GZ301ZE 性能・スペック
- OS:Windows 11 Home
- CPU:Core i9-12900H
- GPU:GeForce RTX 3050Ti
- メモリ:16GB(LPDDR5-5200)
- SSD:512GB NVMe SSD
- 液晶:1,920×1,200ドット (WUXGA) (120Hz)
- 重量:約1.18㎏(キーボード+約370g)
- サイズ:幅302.8mm×奥行き220.72mm×高さ5.6mm
サイズと重量を見ると軽量モバイルノート並みを実現していることがわかります。そこに高性能を詰め込んじゃうあたりが本機の魅力ですよね。14コアのCPUを搭載しているってなにごと?(笑)
デザインは某ロボット大戦系をにおわせていますが、装飾は派手過ぎず適度に抑えられていると思います。モニターが本体扱いになっていますし、背面+上部から熱を逃がす構造になっているため、従来のゲーミングパソコンのようにキーボードが熱くなるということがありません。
排熱性に優れたベイチャンパー構造と、液体金属グリスを採用しているのも功を奏したのでしょうか。
キーボードはファブリック素材で、汚れは目立たないけどホコリは目につきます。
スタンド部分は、赤いでロゴが目を引くデザインとなっています。ベロのようなものが設けられているので、スタンドが引き出しやすい構造になっています。
スタンド裏には、micro SDカードリーダー(左側)、ストレージ増設スペース(右下)が容易されています。
いや・・この仕様はカッコよすぎでは?
付属品
貸出品のため付属品にはちがいがあるかもしれませんが、保証書や電源ケーブルが付属しています。ACアダプターもコンパクトなのが素晴らしいです。
アダプターは100W Type-Cタイプですが、高負荷作業だと充電が追い付かなくなる可能性もあります。
バッテリー駆動時間は約6.6時間とお世辞にも長いと言えないのが弱点でしょう。充電時間が約1.7と短いことが救いです。
実際にパソコンが到着した際には充電がカラでしたし、待機電力的な影響も結構ありそう。充電が追い付かずベンチテストを中断せざるを得ない状況になったのは本機が初めての体験でした。
バッテリー回りに関してはある程度の覚悟が必要なデバイスだと思います。
液晶モニター
液晶モニターは13.4型ワイドTFTカラー液晶で、解像度は1,920×1,200ドット (WUXGA)です。発色はとても良いですし、タッチパネルにも対応するので様々なシーンに対応できそうですよね。
最近は4Kモニターなんかも当たり前になってきているので、そうしたモニターと比べるとドットはやや粗いように感じるかもしれません。
キーボード
キーボードは自然な配列ですが、取り外しが可能なタイプなのでタイピング時のたわみは気になります。ゲーマーにとってキーボードの品質って結構こだわりたいところでもあると思うので微妙な気がしないでもないです。
事務作業的なことやブログ書いたり、編集作業する分には困らないんですけどね…
キーボードはマグネット式で取り外しが可能になっています。タブレットモードにして寝室で映画を見たり、移動時にマンガを読んだりするのも良いかもしれません。
インターフェース
インターフェースは必要最低限といった感じで、Thunderbolt 4、USB3.2 (Type-C/Gen2) 、USB2.0 ×1、カードリーダー、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック、独自規格のROG XG Mobile専用インターフェースなどが装備されています。
個人的には本体横に電源ボタンがあるのは「あり」だと思う派なんですが、少数派なのでしょうか…?
GPUモジュール(ROG XG Mobile GC3)
別売りのGPUモジュール「ROG XG Mobile GC3」を用意すれば、飛躍的に描画性能を高めることが可能です。単体で15万円くらいするので貴族仕様ではありますが、継続しそうなのでタイミング次第で入手するのも手でしょう。
Razer Core Xのように市販されているeGPUって大型の物が多いです。そうした製品と比べて、本体裏に隠れてしまいそうなほどコンパクトな外付けGPUには価値があると思います。
電源供給ができるほか、USBポート、有線LANポート、SDカードリーダーなどを拡張できるのもメリットです。持ち運びが可能というのも大きいですよね!
ROG Flow Z13 GZ301ZE ベンチマーク・性能チェック
Core i9-12900H 性能
14コア20スレッドという化け物じみたCore i9-12900Hを採用。モバイル向けとしては最高クラスの性能であるのは間違いなく、ライバルはデスクトップCPUということになるでしょうか。設置スペースの関係で処理能力をあきらめていた人には希望の光となることでしょう。
参考までに他モデルと比較した例をご覧ください。(PASSMARKの公開スコアを掲載)
モデル | CPU | スコア |
ROG Flow Z13 GZ301ZE | Core i9-12900H | 31073 |
ROG Flow X13 GV301QH | Ryzen 9 5900HS | 23101 |
ROG Zephyrus G14 | Ryzen 9 4900HS | 18833 |
TUF Dash F15 | Core i7-11370H | 12800 |
DAIV 5N | Core i7-10875H | 15814 |
30000超えのスコアは、控えめに言ってヤバいです。
わずか13.4インチのノートPCの性能なのにデスクトップと変わらない処理ができるならオイシイですよね!もはやどこにいたって作業内容を変える必要がなくなります。
RAW現像チェック
実行速度をチェックするためにRAW現像にかかった時間を計測します。
テストの内容は、無料現像ソフトの「RawTherapee」を使って100枚のRAWデータの一括変換にかかった時間を計測。(設定はJPEG品質は90%、高画質です)
モデル | CPU | 時間 |
ROG Flow Z13 GZ301ZE | Core i9-12900H | 2分15秒 |
ROG Flow X13 GV301QH | Ryzen 9 5900HS | 2分59秒 |
ROG Zephyrus G14 | Ryzen 9 4900HS | 3分30秒 |
TUF Dash F15 | Core i7-11370H | 3分31秒 |
DAIV 5N(2020) | Core i7-10875H | 3分23秒 |
RAW現像は2分15秒と、過去最速のタイムをたたき出しています。
正直に言うとゲーミングパソコンらしい仕上がりである、ROG Zephyrus G14あたりを使った方が快適じゃないの?なんて思っていましたが、パフォーマンスならROG Flow Z13の方が上です。
ゲーム性能チェック
ROG Flow Z13 GZ301ZEのゲーミング性能をチェックしていきます。RTX3050Tiと、GPUモジュールのRTX3080でチェック。その有効性を見ていきます。
FF15のスコアを比較
RTX3050Ti(FHD)
RTX3080(4K)
モデル | 設定 | 結果 |
ROG Flow Z13 GZ301ZE (eGPU RTX3080) | 3840×2160(標準設定) | 6196(快適) |
1920×1080(標準設定) | 15288(非常に快適) | |
ROG Flow Z13 GZ301ZE (RTX3050Ti) | 3840×2160(標準設定) | - |
1920×1080(標準設定) | 3961(普通) | |
ROG Flow X13 GV301QH (eGPU RTX3080) | 3840×2160(標準設定) | 5832(やや快適) |
1920×1080(標準設定) | 12674(非常に快適) | |
ROG Flow X13 GV301QH (GTX1650) | 3840×2160(標準設定) | 1788(動作困難) |
1920×1080(標準設定) | 5083(やや快適) | |
TUF Dash F15 (RTX3070) | 3840×2160(標準設定) | 4364(普通) |
1920×1080(標準設定) | 8383(快適) |
PCのパフォーマンスが最高になるように設定したのですが、フルHDではGTX1650よりも低いスコアに留まっています。4K解像度では見た目から重そうでしたのでベンチソフトを途中でストップさせました。
わずか14.5mmと薄型であることも影響しているのか、サーマルスロットリングの影響か、それとも電源なのか?その詳細は不明ですが、なんらかの調整が働いていることは間違いないでしょう。残念ながらRTX3050Tiの理論値には届かない印象を抱いてしまいました。
高負荷環境では1時間ほどしかバッテリーがもたなさそうでしたし、ゲーミング性能に期待しているなら別のモデルを検討するほうが無難かもしれません。
外付けGPUモジュールの効果は絶大で、フルHDはおろか、4K解像度でも快適という結果を得られます。予算が許すのであれば、購入するほうが幸せにはなれそうです…ただしパソコン1台分くらいの価格がネックです。
動画編集チェック
動画編集能力をテストするために無料ソフトのResolveを使いました。ミラーレスカメラで撮影した4Kデータを使って簡単な動画を作成→レンダリング(FHD)の時間を測定しています。
モデル | パーツ構成 | 時間 |
ROG Flow Z13 | Core i9-12900H×RTX3080 | 1分22秒 |
Core i9-12900H×RTX3050Ti | 1分41秒 | |
ROG Flow X13 | Ryzen 9 5900HS×RTX3080 | 1分46秒 |
Ryzen 9 5900HS×GTX1650 | 12分35秒 | |
TUF Dash F15 | Core i7-11370H×RTX3070 | 2分35秒 |
ROG Zephyrus G14 | Ryzen 9 4900HS×RTX2060Max-Q | 2分 |
動画編集においてはフルHDクラスなら問題ない…というかめっちゃ速いですね(笑)
ただし高解像度領域は軽度な編集作業に留めておくほうが無難という印象です。(RTX3080なら可)もはや動画編集もデスクトップのパワーは必要ないのかもしれない…なお外(電源なし)で作業した際にはパフォーマンスがおちるほか、駆動時間の短さがネックに。。
SSD転送速度チェック
実測で読込速度 3300MB/s,書込速度 3200MB/sのNVMe SSDを搭載。販売価格を考えると、もう一歩ほしかったのが本音ですが実用十分な速度になっています。
ROG Flow Z13 GZ301ZE トータルスコア
続いては、CPU、GPU、メモリ(RAM)、ストレージのパフォーマンスチェックのために「Novabench」でテストします。
モデル | ROG Flow Z13 | ROG Flow X13 |
総合 | 3697 | 3871 |
CPU | 2499 | 2552 |
GPU | 898 | 764 |
RAM | 310 | 336 |
Disk | 310 | 219 |
全体的なスコアになると、ROG Flow X13に勝利しています。その要因はGPUによるところが多そうな結果ですが、実際にはCPUのパフォーマンスも高くなっていると感じます。ちょっとしたデスクトップパソコンよりも高性能であることは間違いありません。
ROG Flow Z13 GZ301ZE 感想・評価
良いところ
- デスクトップ並みの処理能力
- モバイルPC並みの軽量さ
- フレキシブルに使える
- 予想以上に冷える、静か
- 1台で多くの作業をこなせる
最高クラスの処理能力×最軽量クラスの軽さを掛け合わせちゃったモンスターPCですね。場所を選ばずにたいていの作業は行えますし、ほとんどの人にとったらオーバースペックなくらいかもしれません。
思い立ったらキーボードを外して、フォトフレームやタブレット的な使い方もできます。レシピを流しながら料理…なんて小粋なこともできちゃいそうですよね。1台あると色々使えて非常に便利だと思います。
ちょっとイマイチなところ
- 高い
- GPUモジュールも高い
- バッテリー駆動時間の短さ
- キーボードのたわみ
- 理論値に届かない描画性能
これだけ凝縮感のある製品なだけに仕方がないのですが、お値段は高いです。描画性能やインターフェースを補えるGPUモジュールが用意されているのは良いのですが、これまたパソコン1台買えるくらいに高いです。
製品の特性上、キーボードの品質もそこそこですし、なによりバッテリー駆動時間の短さ、描画性能がGTX1650に劣っていたのは気になります。
あれこれできるけど特化しきれていない感じもありますし、普通に使うなら素直にゲーミングノートを購入したほうが無難な印象も受けました。
ROG Flow Z13 GZ301ZE をおすすめしたい人
- 高性能なPCを求めている人
- 軽さ・薄さにこだわりたい人
- モバイル環境でクリエイト作業を行う人
- 面白いパソコンがほしい人
ROG Flow Z13 GZ301ZE(GZ301ZE-I9R3050TE)をレビューしてきました。
その軽さや小気味よい使い心地など、これまでのPCライフを根底から変えるような魅力を秘めたモデルだと思います。使っていてワクワクしましたし、色々やってみたいという関心を引くモデルであることも間違いありません。CPU性能は間違いなく高いですが、気になるのはGPU性能がイマイチ伸びきらないこと、バッテリーがもたないことです。
このあたりの課題をキッチリとご自身の中で解決できるのであれば、購入する価値があると思います。デザインも良いですし、所有していたら周囲にもきっと自慢できることでしょう。
僕はSurface Pro 8を気に入って使っているのですが、使い勝手としては似たところを感じます。Surface Pro8の弱点でもある描画性能を克服しているモデルなので必然的に惹かれてしまいます…(ほしいなぁ)