写真やイラストなどの制作作業のために本格的なモニターを導入したい。でもどれを選べば良いかわからない。やっぱり国産のEIZO製品がおすすめなの?という疑問について解説していきます。
この記事を公開するにあたりEIZOのショールーム(大阪)でじっくりお話を伺ってきました。僕自身も理解が深まったことで、EIZO製品にさらなる魅力を感じることができました。そんな魅力をあますところなく徹底解説していきますので、参考にしていただけると幸いです。
目次
売れ筋・人気のディスプレイはどれ?
あまり時間がない人のために、最初におすすめ製品をあげます。
写真やイラストなどを楽しんでいるコンシューマーにおすすめの製品は、ColorEdgeのCSシリーズです。
EIZO ColorEdge CS2731(イチオシ)
さすがのEIZOクオリティ!
- 27型WQHDディスプレイ
- A3ノビを実寸表示可能
- USB Type-C対応
- Adobe RGB99%カバー
- 5年間保証
EIZO製品の中でも「これを買っておけば間違いないのでは?」と思うのがCS2731です。
実用性の高いWQHD(2560×1440)の解像度を持ち、Adobe RGBカバー率99%の色表現の美しいモニターです。USB Type-Cにも対応しており、ケーブル1本で様々な信号データをやりとりできます。さらに60W給電でノートパソコンの充電も可能です。
MACユーザーにもおすすめです。
EIZO ColorEdge CS2420-Z(売れ筋)
実用的な24.1型モニター!
- 24.1型WUXGA(1920×1200)
- スリムなベゼルでコンパクト化を実現
- A4を実寸表示可能
- Adobe RGB99%カバー
- 5年間保証
CS2731ほど高性能なものは必要ないと言う人におすすめなのがCS2420-Zです。
フルHD(1920×1080)よりも縦に解像度が高い、WUXGA(1920×1200)を採用しており視認性、作業効率が良いのが特徴です。もちろんAdobeRGB 99%カバーしているので、リアルな色表現を楽しめます。
EIZOの社員さんいわく「最も売れ筋の製品」とのこと。比較的コンパクトなので小さな机にも設置しやすく、編集用のサブディスプレイとしてもおすすめです。
EIZOとは?
EIZOは石川県白山市の会社です。50年以上もディスプレイの開発に取り組んでいます。国内生産の製品は、高品質で信頼性も高く、プロアマ問わず多くのユーザーから支持されています。
もともとは株式会社ナナオとして、製品の開発、生産、販売をしていたので「ナナオなら知ってる」と言う人もいるかもしれませんね。ちなみに「EIZO」「NANAO」両ブランドを一本化し、現在のEIZOに統一されたのが、1996年4月のことです。
医療分野、ビジネス、趣味やクリエイティブワークを支えています。最近では、就業中の全面禁煙を実施するなど意欲的な取組みも見せています。
EIZOのモニターの特徴
ポイント
- 色がきれい
- 目の負担が小さい
- 高品質で安心感がある
- 国内生産
- 保証が手厚い(5年保証)
- 多くの企業に導入されている
EIZOを語る時に、必ずといってよいほど聞こえてくるのが「満足度の高さ」です。そう言う意味では、評判のとても良いモニターだと言えるでしょう。
製品の質の高さはもちろん、故障した時の代替機の貸出など、手厚いサポートが受けられます。6ヶ月の無輝点保証もあり、製品への自信も伝わってきます。
一部の製品はラインを使わずに、選ばれし職人の手だけで製造されています。そのため、どうしても値段が高くなりがちですが、購入後も安心して使えるという意味では選ぶ価値のあるメーカーさんです。
写真やイラストに適した性能
撮影データに忠実な色再現!広色域ディスプレイ
EIZOのモニターは色域が広く、撮影データを忠実に再現してくれます。まるでリアルそのもののような色味で編集作業に当たれるため、撮影時の感動がそのまま蘇ってくるようです。
高さ調節も楽!自由度の高いスタンド
EIZOのモニターは自由度の高いスタンドを採用しているのも特徴の1つです。個人的には高さを限界まで下げて使うのが好きで、やや見下ろして使う姿勢がとても楽です。
独自技術により眼にやさしい
EIZOではノングレア式のIPSパネルを採用しているので、角度による色変化や映り込みが少ないです。さらにデジタルユニフォミティ補正回路による輝度ムラ、色度ムラ補正を行い、画面全体で均一表示を可能にしています。これらの独自技術により、眼へのダメージは最小限におさえらます。
一般的なモニターを使っていた時は、2時間程度の作業でも眼が辛くなりました。慢性的な肩こりや頭痛に繋がっていた気がしますが、EIZOのモニターにしてからはずいぶんと楽になりました。
キャリブレーションソフトも充実
EIZOはソフトウェアが2つあります。「Quick Color Match」と「ColorNavigator 7」どちらかを用途に合わせて使いましょう。
- 簡単にプリントとディスプレイの色を合わせたい→Quick Color Match
- キャリブレーションをしたい→ColorNavigator 7
プリント時に色ズレがなくノンストレス
ポイントさえしっかり抑えておけば、プリントとモニターの色ズレは最低限におさえられます。
何度もキャリブレーションしたり、プリントを無駄にしてしまったりといったストレスから解放されやすくなります。あとは作業に集中するのみです!
EIZO製品でおすすめは?
EIZO製品に詳しくない方のために、まずはざっくりとモデル(シリーズ)を解説します。
FlexScan | CSシリーズ | CGシリーズ |
一般ユース向け | 写真・イラスト向け | 写真・映像プロユース |
sRGBに準拠(%は不明) | sRGB100%/AdobeRGB99% | AdobeRGB99% |
キャリブレーション機能なし | ハードウエアーキャリブレーションに対応(センサー別売り) | ハードウエアーキャリブレーションに対応(一部製品を除きセンサー内臓) |
右にいくほど高性能になっており、よりイメージに近い制作活動が可能となっています。とは言え、人によっては必要としない機能もあります。EIZOのモニターは決して安くはないので、無駄な出費を避ける意味でもしっかりと検討していきたいところです。
それでは、もう少しそれぞれのシリーズについて深掘りしていきましょう。
FlexScanはスタンダードな性能
FlexScanは、4辺フレームレス仕様でフラットデザインになっています。ベゼルがないので作業に集中できるだけでなく、小型化にも貢献し小さなスペースにも設置しやすいです。
僕が初めて買ったEIZOモニターでもあり、数年お世話になった思い入れのあるシリーズでもあります。
ブルーライトカット、ちらつき防止、Paperモードなどを搭載しており、目の負担を軽くしてくれます。1日中モニターを見て仕事をしているので、とても助かったのを記憶しています。
色域の記載はありませんが、ショールームで聞いてみると「sRGBには準拠している」という回答が返ってきました。「厳格な数値はお答えできません」と添えられての回答ですが、写真や映像コンテンツ視聴は十分きれいで満足のいくものです。
ハードウエアーキャリブレーションには未対応なので、長期的な劣化に対応できないという弱点があることは理解しておきましょう。
数字を厳密に管理することでコストは上がってしまうので、予算を抑えたくて強いこだわりのない人はFlexScanで事足りるかもしれません。
FlexScanはこんな人におすすめ!
- お仕事やテキスト中心で作業する人
- sRGBに対応していればOKな人
- 長期的なメンテナンスは考えていない人
- 厳密な管理は避けたい、面倒という人
ColorEdge CSシリーズがおすすめ
ColorEdge CSシリーズは、カラーマネジメントに対応したスタンダードな製品です。
カメラで撮影したデータをリアルな色で表現してくれるため、作業の没入感、楽しさ、喜びが桁違いに得られます。
コンシューマ向けで最も売れているシリーズでもあり、グラデーションの滑らかさや、ムラを抑えた画面隅々まで均一に表示してくれる機能などを搭載しています。ソフトウエアも充実しており、モニターと写真プリントを簡単に色合わせしてくれる「Quick Color Match」、キャリブレーションの細かい設定が可能な「ColorNavigator」に対応しています。
突っ込んだ設定ができるので、より緻密で思い通りの制作活動をする助けになります。
CSシリーズなら答えは3択!
CSシリーズは3つの製品が現在販売になっています。
CS2731 | CS2420-Z | CS2410 |
2560×1440 | 1920×1200 | |
109ppi | 94ppi | |
1000:1 | ||
AdobeRGB99% | sRGB100% | |
USB Type-C、DisplayPort、HDMI、DVI-D | DisplayPort、HDMI、DVI-D | |
約13万円 | 約9万円 | 約5万円 |
製品の大きなちがいは上記の通りです。CS2410は家電量販店などでの取り扱いはなく、EIZOダイレクトだけでの販売になります。
どのモニターも色表現に優れ、キャリブレーションにも対応するため長期的な使用も安心です。プリントの色ズレも最小限に抑えられるため、ストレスなく現像作業を楽しめます。
ColorEdge CGシリーズは企業やプロユース
CGシリーズは簡単に言うと、CSシリーズをベースにキャリブレーションセンサーを内蔵したモニターになります。製品名の末尾に「X」が付くものは動画のプリセットを盛り込こんでいるため、映像編集に最適となっています。
すごいのはSelfCalibrationに対応していることで、自動的にキャリブレーションをしてくれる機能を搭載していることです。深夜誰も使っていない時間などに設定しておけば、作業時間に影響されることなくモニターの品質が保たれます。
映像制作会社などでは納期に迫られた時に「キャリブレーションまで手が回らない」ということも多々あるので、そういった企業さんにCGシリーズが採用されていますと教えていただきました。
内蔵センサーも経年劣化を除き5年間保証の対象ですし、万が一初期のパフォーマンスが出せなくなった場合はメンテナンス(有償)も受け付けていますとのことでした。
24インチのおすすめ製品
サイズで選びたい人のために、個人的にこれがおすすめだというものをピックアップしました。
EIZO ColorEdge CS2420-Z(売れ筋)
実用的な24.1型モニター!
- 24.1型WUXGA(1920×1200)
- スリムなベゼルでコンパクト化を実現
- A4を実寸表示可能
- Adobe RGB99%カバー
- 5年間保証
CS2731ほど高性能なものは必要ないと言う人におすすめなのがCS2420-Zです。
フルHD(1920×1080)よりも縦に解像度が高い、WUXGA(1920×1200)を採用しており視認性、作業効率が良いのが特徴です。もちろんAdobeRGB 99%カバーしているので、リアルな色表現を楽しめます。
EIZOの社員さんいわく「最も売れ筋の製品」とのこと。比較的コンパクトなので小さな机にも設置しやすく、編集用のサブディスプレイとしてもおすすめです。
EIZOなのに5万円!?ColorEdge CS2410
EIZOカラーマネージメントモニター/ColorEdge CS2410/1920 x1200/IPS/16:10/sRGB色域を100%カバー/ハードウエアキャリブレーション対応/写真編集用
税別5万円を切るカラマネモニター!
- 24.1型 WUXGA(1920×1200)
- sRGB色域を100%カバー
- ムラ補正回路搭載
- 1台づつ個別に調整して出荷
キャリブレーションに対応したEIZO製品では最も安いCS2410もおすすめです。
AdobeRGBまでの色域までは表記されていないことが弱点ではありますが、Webやモニター上での色味が確認できれば大丈夫という方なら十分でしょう。これまで一般的なモニターを使っていた人なら、色の美しさ、ムラの無い表示に感動こそすれ、不満は起きないはずです。
EIZO ColorEdge CG248-4K
23.8型で4K対応のリトルモンスター!
- 23.8型4K-UHD(3840×2160)
- 表示安定までわずか3分を実現
- キャリブレーションセンサーを内蔵
- Adobe RGB99%カバー
- 5年間保証
24型クラスで4K解像度に対応してしまった小さな巨人。決してお安くはありませんが、緻密な表示は編集作業にあたって武器になります。キャリブレーションセンサーも内蔵しているため、別途購入しなくても済むのが嬉しいポイント。
27インチのおすすめ製品
EIZO ColorEdge CS2731(イチオシ)
さすがのEIZOクオリティ!
- 27型WQHDディスプレイ
- A3ノビを実寸表示可能
- USB Type-C対応
- Adobe RGB99%カバー
- 5年間保証
EIZO製品の中でも「これを買っておけば間違いないのでは?」と思うのがCS2731です。
実用性の高いWQHD(2560×1440)の解像度を持ち、Adobe RGBカバー率99%の色表現の美しいモニターです。USB Type-Cにも対応しており、ケーブル1本で様々な信号データをやりとりできます。さらに60W給電でノートパソコンの充電も可能です。
EIZO FlexScan EV2785
4K解像度×USB-C対応!
- 27型4Kディスプレイ
- USB Type-C対応
- 自由度の高い新スタンドを採用
- sRGBに準拠(数値は不明)
- 5年間保証
27型4K-UHDに対応しており、Type-Cでノートパソコンの拡張を考えている人にも最適。自由度の高いスタンドは楽な姿勢を維持できますし、EIZO独自機能で眼にやさしいのもポイント!
写真編集用としては色表現が不明確なのは心配ですが、それよりも日々の使い勝手の良さを重視したい人におすすめです。
EIZO製品を安く買う方法
EIZOダイレクトのクーポンを利用する
稀にですがEIZOダイレクトでは、期間限定で割引クーポンを発行していることがあります。クーポンコード(2019SMMRなど)を入力することで製品がお得に購入できます。
狙うのは難しいかもしれませんが、余裕があれば購入のタイミングをはかるのもありかもしれません。
例)CS2420-Z+遮光フードを購入した場合
個別購入 | セット購入 | クーポン購入 |
¥117,288(税込) | ¥104,800(税込) | ¥94,320(税込) |
一例にすぎませんが、10万円を割り込んでくると精神的な負担も随分ちがいますよね(笑)環境が整っていない人なら割引クーポンがあるタイミングで、推奨プリンタ、色評価用ライト、センサーなど一気に揃えてしまうのも有りでしょう。
EIZOダイレクトのアウトレットを利用する
EIZOダイレクトでは、旧機種やアウトレット品などを台数限定の特別価格で販売しています。
数万円単位で割引担っているものも多く、中には15万円OFFなんていうものもあります。もちろん元値が高い製品ではありますが、セール品の中にはクーポン併用可能なアイテムもあります。
EIZO製品の弱点はないの?
品質が高いEIZO製品ですが、ラインナップにスキがあるように思います。と言うのも、4K解像度とType-Cに対応している製品が少ないです。
4K解像度に対応しているのは一部のハイエンドモデルのみで、価格的にもウン十万円以上となっており一般層ではなかなか手が出せません。Type-Cに対応しているのは、CG279X、CS2731のみで十分とは言えません。
「これから随時ラインナップは拡大させます」とのことでしたので、今後の製品発表が楽しみですね!
まとめ
- EIZO製品はやっぱりすごかった!
- 一般ユーザーは、CSシリーズ3機種から選ぶのがおすすめ!
- これからのラインナップ拡大が楽しみ!
EIZO製品が高品質であることは体験からも知っていましたが、ますます理解が深まったことで製品への興味が湧いてきました。
それまでは「なんでこんなに高いの?」という疑問もありましたが、国内生産で限られた人のみが組立に携われること、ソフト開発を各メーカーと協力して開発していること、長期的な保証が充実していること、などからも「仕方ないよな」と思えるほどになりました。
ショールームの方も「高いというご意見はたくさんちょうだいしています」と言っておられました(笑)その上で、CS2410のような実売5万円程度の製品が出てきたこともユーザーの声に耳を傾けている証拠でしょう。
写真を愛する人には、高品質なモニターでご自身の作品を昇華させてもらいたいなと感じる取材となりました。
EIZOは公式ホームページで「製品情報の紹介」「写真家や著名人の製品レビュー」「sRGBとAdobeRGBのちがい」「ソフトウェアの使い方」「商品購入」「アフターサービス」「イベント・セミナー」などのアナウンスをしています。
僕はこれらのコンテンツが好きで「EIZOダイレクト」をたまにチェックしています。ぜひ一度、ご覧になってはいかがでしょう?