ASUSのゲーミングノートパソコン「ROG Flow X13 GV301RE」(GV301RE-R96R3050TE)をレビューします。(製品貸出元:ASUS JAPAN 株式会社)
薄さ15.8mm、1.35kgのボディに、Ryzen 9 6900HS×RTX3050Tiを搭載!13.4型(1,920x1,200/120Hz)タッチパネルディスプレイで、あらゆる作業の効率化につながります。さらに別売りの、GPUモジュール「ROG XG Mobile」を取り付けることで描画性能を高めることも可能。
「軽さと強さ」「コンパクトさと拡張性」など二面性をあわせ持ち、ロマンあふれる製品となっています!
ベンチマークソフトを使ってのパフォーマンスチェックや、使い心地などをレビューしていきますので参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
ROG Flow X13 GV301RE(GV301RE-R96R3050TE)レビュー
ASUSのゲーミングノートパソコン「ROG Flow X13 GV301RE」です。
コンパクトな筐体にこれでもかと性能をつめこんだ、夢のあるノートパソコンです。Ryzen 9 6900HSはデスクトップ並みの処理を誇りますし、RAW現像や動画編集といったクリエイト作業も効率的に行なえます。発表当初からこのシリーズには注目していたのですが、実際に使ってみると「すごくいい…」と思わずもらしちゃうレベル…(笑)
ROG Flow X13 GV301RE(GV301RE-R96R3050TE)の特徴をまとめるとこんな感じです。
- デスクトップ並みの処理能力
- WUXGA対応のタッチパネル液晶
- 120Hz対応で滑らかな映像が楽しめる
- 薄くてコンパクト(約1.35kg)
- GPUモジュールで描画性能がUP
- 1台でなんでもできるノートPC
ラインナップ
型番 | 構成 | 価格 |
13.4型1,920×1,200(120Hz) Ryzen 9 6900HS×32GB×1TB SSD×RTX3050Ti | 279,800 | |
13.4型1,920×1,200(120Hz) Ryzen 9 6900HS×16GB×512GB SSD×RTX3050 | 239,800 | |
13.4型1,920×1,200(120Hz) Ryzen 7 6800HS×16GB×512GB SSD×Radeonグラフィックス | 189,800 |
※価格は変更される可能性があります
クリエイターの方ならハイエンドモデル、ゲーマーなら120Hzモニターを選ぶのが良さそう!この他にもインテル第12世代CPUを搭載した「ROG Flow Z13シリーズ」も存在します。
GPUモジュール
型番 | 構成 | 価格 |
Radeon RX6850M XT | 129,800 | |
GeForce RTX 3070 | 149,800 |
YouTube動画レビュー
過去モデルですが動画でも紹介していますので、よければご覧ください。高評価、チャンネル登録してもらえると喜びます!
ROG Flow X13 GV301REの性能(スペック)
- OS:Windows 11 Home 64ビット
- CPU:Ryzen 9 6900HS
- GPU:GeForce RTX 3050Ti
- メモリ:32GB
- SSD:1TB NVMe SSD
- 液晶:1,920×1,200ドット (WUXGA/120Hz)
- 重量:約1.35㎏
- サイズ:幅299mm×奥行き222mm×高さ15.8~16.95mm
ゲーミングモデルとは言え、外観は小さくロゴが入っただけのシンプルなデザイン。ちょっと指紋や油脂が目立ちやすいのは気になりましたが、どんなシーンに持ち込んでも邪魔はしないでしょう。ビジネスシーンやモバイルが多い人にも向いていると思います。
ノートパソコンとしては処理能力が非常に高く、RAW現像や動画編集などの用途でも力を発揮してくれます。片手で持てるくらいの軽さに、よくぞこれだけのパフォーマンスを持たせたなという印象。
マットな質感かつブラックですので、指紋がつきやすいのはご愛敬でしょうか…
PC内部の熱を逃がすために高い伝導率をもつ液体金属グリスを採用、2本のヒートパイプで3つのヒートシンクに熱を逃がして効率的に排熱します。ファンはよく周りますが「サー」という感じの音で煩わしくはありません。集中力を削がれるようなこともありまんでした。
付属品
貸出品のため製品版とは頃なる可能性がありますが、保証書や電源ケーブルなどが付属。ACアダプターもコンパクトで持ち歩くのも苦じゃありません。
液晶モニター
液晶モニターは13.4型1,920×1,200ドット (WUXGA)で、タッチパネル操作にも対応します。フルHDよりも縦に長いので、資料等を広げても作業性を損ないにくいのがメリットです。発色も良く、編集作業にも十分使えるレベルだと感じました。
テントモードやタブレットモードで使えて、タッチパネルにも対応するので、プレゼンでの資料共有や動画鑑賞にも便利だと思います。グレア液晶のため映り込みはある程度発生します。
キーボード
キーボード配列は自然で、タイピング時のたわみも感じません。コンパクトなPCにありがちなチープさがないのがとても良いです。もちろんバックライトにも対応。トラックパッドはコンパクトですが、精度もよくストレスは感じませんでした。ちょっとした作業ならマウスなしで十分にこなせると思います。
インターフェース
インターフェースは、HDMI、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック、USB3.2 (Type-C/Gen2) ×2、USB3.2 (Type-A/Gen2)×1、ROG XG Mobile専用インターフェースが装備されています。
Type-Aがもう1つくらい欲しい気はしましたが、コンパクトなPCなので仕方のないところなのかも。Type-Cがあるので対応ハブなどを使えば済む話です。ちなみにType-Cは、データ転送、映像出力、本機への給電をサポートしています。
GPUモジュール(ROG XG Mobile GC32L)
いわゆる外付けGPU(eGPU)と呼ばれるGPUモジュール「ROG XG Mobile GC32L-021」が別売りで用意されています。単体で10万円以上するので導入ハードルは高めかもしれませんが、使用することで飛躍的に描画性能を高めることが可能。パソコン本体とずらして購入するのも良いかもしれません。
従来型のThunderbolt 3を使った外付けGPUとちがって、Pcle 3.0×8接続ですので性能低下を引き起こしにくいのがメリットです。Thunderbolt 3よりも約1.5倍高速で、非常にコンパクトです。ただしモバイル用GPUですので性能はデスクトップに劣ります。コンパクトですので必要に応じて持ち歩くなんて力技も可能かもしれません。
外ではカジュアルに使って、自宅ではROG XG Mobile GC32Lに接続してパワフルに使うなんてのも良さそうですよね!
ROG Flow X13に電源供給ができるほか、USBポート、有線LANポート、SDカードリーダーなどを拡張できるのもメリットです。
問題はケーブルが短いので設置の自由度が低いことでしょうか?それと、ケーブルで接続している関係上、どうしても接触不良が起こる可能性があります。
自分はパソコンを少し移動させようとした際に、GPUモジュール接続端子が動いてしまったのかゲームが止まってしまい焦りました…
ROG Flow X13 GV301RE ベンチマークテスト結果
CPU:Ryzen 9 6900HSの性能
8コア16スレッドのRyzen 9 6900HSを採用しています。モバイル向けのCPUとしては最高クラスの性能を誇り、デスクトップCPU並みのパフォーマンスを見せてくれます。
参考までに他モデルと比較した例をご覧ください。(PASSMARKの公開スコアを掲載)
モデル | CPU | スコア |
ROG Flow X13 GV301RE | Ryzen 9 6900HS | 24820 |
ROG Flow X13 GV301QH | Ryzen 9 5900HS | 23101 |
ROG Zephyrus G14 | Ryzen 9 4900HS | 18833 |
TUF Dash F15 | Core i7-11370H | 12800 |
DAIV 5N | Core i7-10875H | 15814 |
DAIV A5 | Ryzen 7 3700X | 22803 |
Ryzen 9 5900HSを搭載していた従来モデルと比較すると約7%ほどの性能UPです。
劇的に進化しているとは言えませんが、ノートパソコンで20000超えのスコアはやばいです。デスクトップ並みの性能があるので、高負荷な作業をモバイル環境で行いたいという人にはおすすめです。
RAW現像チェック
実行速度をチェックするためにRAW現像にかかった時間を計測します。
テストの内容は、無料現像ソフトの「RawTherapee」を使って100枚のRAWデータの一括変換にかかった時間を計測。(設定はJPEG品質は90%、高画質です)
モデル | CPU | 時間 |
ROG Flow X13 GV301RE | Ryzen 9 6900HS | 2分35秒 |
ROG Flow X13 GV301QH | Ryzen 9 5900HS | 2分59秒 |
ROG Zephyrus G14 | Ryzen 9 4900HS | 3分30秒 |
TUF Dash F15 | Core i7-11370H | 3分31秒 |
DAIV 5N(2020) | Core i7-10875H | 3分23秒 |
DAIV A5 | Ryzen 7 3700X | 3分12秒 |
100枚のRAW現像にかかった時間は2分35秒です。PASSMARKのスコアだけを見ると(Ryzen 9 5900HS→Ryzen 9 6900HSになったことで)ものすごく進化をしたと感じるほどではありませんでしたが、思ったよりは処理時間を短縮してきた印象です。
もともと旧モデルでも性能が高かったですし、モバイル用インテルCPUやデスクトップCPUと比較しても速いです。メモリが32GBと有利だったこともありますが、そこらへんのデスクトップよりもずっと短い時間で処理が終わります。
ゲーム性能チェック
ROG Flow X13 GV301REのゲーミング性能をチェックしていきます。PC内蔵のRTX3050Tiと、GPUモジュールで初搭載となるRadeon RX6850M XTの性能差を見ていきます。
FF15のスコアを比較
RTX3050Ti(FHD)
RTX3080(4K)
モデル | 設定 | 結果 |
ROG Flow X13 GV301RE (RTX3050Ti) | 3840×2160(標準設定) | 2327(動作困難) |
1920×1080(標準設定) | 6343(やや快適) | |
ROG Flow X13 GV301RE (eGPU RX6850M XT) | 3840×2160(標準設定) | 4431(普通) |
1920×1080(標準設定) | 11838(とても快適) | |
ROG Flow X13 GV301QH (eGPU RTX3080) | 3840×2160(標準設定) | 5832(やや快適) |
1920×1080(標準設定) | 12674(非常に快適) | |
DAIV Z7 (RTX3060) | 3840×2160(標準設定) | 4274(普通) |
1920×1080(標準設定) | 11522(快適) |
GeForce RTX3050TiだとフルHDでやや快適、4K解像度では動作困難に陥ってしまいました。気軽にゲームを楽しんだり、補助的な使い方をするならRTX3050Tiでも十分ですが、積極的にゲームで使うには物足りないというのが正直なところでしょうか。
その点、GPUモジュールを活用すると4K解像度でも普通という結果を得られました。Radeon RX6850M XTは、スコアだけならデスクトップのGeForce RTX3060に近い性能を持っていることになります。ゲームメインでパソコンを購入したいという人や、動画配信などを考えている人にはGPUモジュールを活用するメリットは大きそうです。
参考までにGeForce RTX3080を搭載した「GC31S-026」のスコアも載せていますが、めちゃくちゃ強いですね(笑)
動画編集チェック
動画編集能力をテストするために無料ソフトのResolveを使いました。ミラーレスカメラで撮影した4Kデータを使って簡単な動画を作成→レンダリング(FHD)の時間を測定しています。
モデル | パーツ構成 | 時間 |
ROG Flow X13(新) | Ryzen 9 6900HS×RX6850M XT | 1分40秒 |
Ryzen 9 6900HS×RTX3050Ti | 2分01秒 | |
ROG Flow X13(旧) | Ryzen 9 5900HS×RTX3080 | 1分46秒 |
Ryzen 9 5900HS×GTX1650 | 12分35秒 | |
TUF Dash F15 | Core i7-11370H×RTX3070 | 2分35秒 |
ROG Zephyrus G14 | Ryzen 9 4900HS×RTX2060Max-Q | 2分 |
フルHDへの書き出しだと、GPUモジュールを使っても20秒ほどの短縮に留まります。正直フルHDクラスの編集作業ならRTX3050Tiで十分な気がします。
ちなみに4K解像度への書き出しを行ったところ「5分40秒→3分40秒」だったので、より高度な編集作業を行う人はGPUモジュールを採用することをおすすめします。そもそもRTX3050Tiで4Kを扱うのはちょっと荷が重いです。
GTX1650は処理に時間がかかっていますが、おそらく編集ソフトがGPUを使わずに処理を行ったためだと思われます。(なぜかたまにある)本来であれば3分程度で処理が終わると思います。
SSD転送速度チェック
読込速度 3300MB/s,書込速度 3200MB/sのNVMe SSDを搭載。十分に早いのですが、20万円を超えるパソコンとしては、もうワンランク上の速度がほしかったところです。
ROG Flow X13 GV301REのトータルスコア(総合力)
続いては、CPU、GPU、メモリ(RAM)、ストレージのパフォーマンスチェックのために「Novabench」でテストします。
モデル | ROG Flow X13(新) | ROG Flow X13(旧) |
総合 | 4104 | 3871 |
CPU | 2630 | 2552 |
GPU | 846 | 764 |
RAM | 338 | 336 |
Disk | 290 | 219 |
ROG Flow X13は、旧モデルと比較しても全体的にスコアアップが見られて好印象です。旧モデルからわざわざ買い替える必要はないでしょうが、実直にスコアを伸ばしているのは好印象です。
ROG Flow X13 GV301REの感想や評価
メリット
- デスクトップ並みの処理能力
- モバイルPC並みの軽量さ
- 発色が良く滑らかなモニター
- 予想以上に静か
- 1台で多くの作業をこなせる
処理能力の高さと軽量さを生かして、どんな場所でも効率的に処理が行えるのはROG Flow X13の素晴らしいところでしょう。
コレが1台あればデスクトップもいりませんし、タブレット的な使い方もできます。新幹線や飛行機の移動時間で資料を作ったり、映画を見たりとフレキシブルに使えそうなのも良いですね。
GPUモジュールさえ用意できたらシステムが完成するところはユニークだと感じます。
デメリット
- インターフェースが少ない
- GPUモジュールが高額
弱点らしい弱点はないのですが、USBの数が少なく、カードリーダーも非搭載なのはややネックでしょうか。コンパクトかつ、独自のインターフェースも搭載しているため仕方ないと言えば仕方ないんですけどね…
GPUモジュールも単体で10万円を超えており、今回のテスト環境を構築しようと思うと249,800+129,800=379,600円となります。40万円近くかけるなら多くの選択肢がありますので、その中で特別な何かを見いだせるかどうかは鍵になりそうです。最初はノートパソコンを買って、後々GPUモジュールを用意するなんて二段構えもありかもしれませんね。
GPUモジュールがロマン仕様ですぐに打ち切りになるかと思いきや、ちゃんと継続してくれているので安心材料は増しました。貴族仕様ではあるもののタイミングを見て導入するという「夢」があるのも面白いですよね(笑)
個人的には少し性能が落ちても良いからThunderbolt経由で接続できるコンパクトな製品を出してほしいですね…お願いASUSさん!
ROG Flow X13 GV301RE をおすすめしたい人
- 高性能なPCを求めている人
- 液晶モニターにこだわりたい人
- モバイル環境でクリエイト作業を行う人
- 1台で完結できるパソコンがほしい人
ROG Flow X13 GV301REをレビューしてきました。
圧倒的な高性能は、もはや「反則では?」と思えるほど。デスクトップパソコン顔負けの処理能力をいかして、モバイル環境化で本格的な作業が行えます。GPUモジュールは全体的にコスパの悪さにつながっていますが、拡張性やロマンを買うという意味ではありかと思います。
フレキシブルな使い方ができるアイテムですので、アイデア次第で生活にフィットしそうなのも良いですよね。コンパクトかつ究極の環境を構築を目指している人には、ぜひ検討してもらいたい1台です!