フジノン単焦点レンズの中では最も広角になる「XF14mmF2.8 R」をレビューしていきます。
フルサイズ換算で21mm相当の世界は、人の目で見るよりもはるかに広い世界を表現してくれます。しかも広角レンズにありがちな歪みを、光学設計だけで排除しているという驚異のレンズです。解放F2.8でボケを活かした撮影もできますし、最短18cmの近接撮影も可能という気の利いたレンズでもあります。風景や建物だけでなく、星や夜景の撮影にも使ってみたくなりますね。
しばらく使ってみて、手ごろな価格帯のわりに満足度の高いレンズだと思いましたのでXF14mmF2.8 Rの魅力をお伝えできればと思います。それではご覧ください。
目次
FUJIFILM XF14mmF2.8 R レビュー
「広角レンズは余計な物が写りこむから苦手」そういう人は多いかと思います。なにを隠そう僕もそうでした(笑)写真の隅に電線が写り込んだり、人の手が飛び込んできたりといったこともありました。意図しない写真になってしまうんですね・・・
しかしハマったときの画力が強いのもまた広角レンズの特徴です。ダイナミックな世界観を狙って表現できれば、気持ちの良い写真を撮ることができます。
XF14mmF2.8 Rは一言で言ってしまえば「素直な描写をするレンズ」です。ヌケが良くシャープな描写で、真っすぐ構えると歪みとは無縁と言って良いでしょう。周辺減光なども極力排除されているので、全体的に整った(均一な)イメージを与えてくれます。
良く言えば真面目、悪く言えば面白みのないところもありますが、その個性を活かす道を考えるのもフォトグラファーとしての醍醐味でしょう。とは言え、XF14mmF2.8 Rは軽量でサッと取り出しやすいので、あまり難しく考えずに気楽にシャッターを切るのも楽しいと思います。
XF14mm F2.8 Rの特徴・外観写真
高級感を感じさせる外観
XF14mmF2.8 Rの外観は金属製で品質の高さが伝わってきます。ちなみにメイドインジャパンです。絞り開放はF2.8で、変更するとコクコクとした手触りが伝わってきます。スカスカだと勝手に絞りが変わったりするので、ちょっと安心。
距離指標・被写界深度指標を搭載
距離指標・被写界深度指標が装備されています。フォーカスリングを動かすギミックが謎に満足度を高めてくれます(笑)一瞬でマニュアルフォーカスに切り替えれるのは良いですね。
重量わずか235gの軽量サイズが好印象
XF14mmF2.8 Rをお気に入りにしてくれる要素が、軽さとコンパクトさです。軽いレンズは気持ちまで軽くしてくれるので、撮影に意欲的になります。
スナップや室内でのポートレートなんかでも存在感が消せるのは有難いです。
富士フイルムの中でも神レンズとうたわれたXF35mm F1.4を一回り大きくしたサイズ感です。2本持ち出してもカバンを圧迫しません。
XF14mm F2.8とXF16mm F1.4を比較
広角側で良く比較検討される焦点距離が2mm違いのXF14mm F2.8 とXF16mm F1.4です。XF16mmのほうが存在感があるのがわかります。
ズームレンズのXF10-24mmF4 R OISの存在や、XF16mm F2.8 R WRの発売もあり、富士フイルムの広角レンズ選びは悩みが深くなっている感じがありますね(笑)
X-Pro2とマッチするデザイン
X-Pro2に取り付けるとグッドルッキングですね~!デザイン性を損ねることもないので、ニヤニヤが止まりません!
このサイズ感ならTシリーズなどの一眼レフスタイルはもちろん、X-T30(X-T20)、X-E3あたりにつけても気軽に使えそうです。
XF18-55mmと共用フードが残念
ちょっと残念なのがズームレンズと同じ花形フードです。ここだけが樹脂になるので、富士フイルムさんには専用フードを開発してもらいたいところ。今は気持ち的に外して使っているけど、58mmでカッコ良いメタルフードとかがあれば使ってみても良いかも。
XF14mm F2.8 Rのフィルター径は58mm
XF14mm F2.8 Rのフィルター径は58mmです。
XF14mm F2.8 Rのスペック・性能表
焦点距離 | 14 mm |
開放F値 | F2.8 |
手ぶれ補正 | 無 |
防塵防滴 | 無 |
レンズ構成 | 7群10枚 |
絞り羽枚数 | 7枚 |
最大撮影倍率 | 0.12倍 |
最短撮影距離 | 0.18m |
フィルター径 | 58mm |
重量 | 235g |
価格 | 価格を見る |
XF14mm F2.8 Rの作例
建物や風景にはベストマッチ
XF14mm F2.8 Rを使ったら撮りたくなるのが建物です。どれだけまっすぐに写るんだよこの野郎にくいぜ!(ほめてます)
俯瞰で撮っても良い感じ。この場所は夜景もぜったいきれい。そしてXF14mm F2.8 Rなら納得の一枚が撮れる気がする。
神社の中の人を浮かびだすためにやや明るめにシャッターを切っています。この状態でも空の青が飛んでいません。
スッキリとしたヌケ感が気持ち良い
写真を見返してみるとスッキリとヌケの良い写真が多いことに気づきます。
広角スナップが面白い
僕はこれまでスナップと言えば、フルサイズ換算で28~35mmあたりが使いやすいイメージでしたがくつがえりました。広角でのスナップは普段とは別の感覚になり、独特な「間」をもたらしてくれます。
小型で存在感の小さなレンズなので、周囲の警戒レベルもそれほど高くなりません。それなりに近い距離でしたが信号待ちの人々をとらえられました。
旅行や観光地で活躍
あまりにも有名すぎるグリコの看板です。手前を通り過ぎる女性のインパクトが大きめです(笑)
こうした観光地や旅先での風景を全ておさめてくれる優秀なレンズです。土地勘のない場所だと、焦点距離の感覚がつかめないもんです。「あれもこれも入れたいのに入らない」なんてこともありますが、全て撮影してしまえば問題ありません。
「神戸牛が食べれるお店はこちら」と案内してくれる牛。そしてスパイダーマン。シュールです。
意外にもやわらかい描写が得意
線がしっかりしているレンズなので硬い表現になりがちかと思いけや、柔らかく繊細な描写も得意。ボケもなだらかで嫌味がありません。得意のゆるふわ設定で、あじさいのあわーい色合いをうまく表現してくれました。
XF14mm F2.8 Rのメリット
- 広角のダイナミックな写真が撮れる
- 最短18cmの近接撮影も可能
- 小型軽量でどんなボディにもマッチ
写りを見ても、使い心地を見ても気持ちの良いレンズという印象です。歪みのない整った写真は、見ていて気持ちが良いですからどんどんシャッターを切りたくなります。撮る時にはヒヤリとした金属の質感が伝わり、レンズと対話する快感を得られます。
また、寄れない、重いといった撮影にマイナスな部分もないのでスムーズに撮影を楽しめます。どこまでも素直なレンズです。
XF14mm F2.8 Rのデメリット
- 素直すぎて面白みに欠ける
- 防塵防滴じゃない
- 手ぶれ補正がない
- レンズ選びに悩む(笑)
総じて満足度の高いXF14mm F2.8 Rですが、あまりにも素直すぎて面白味に欠けると感じる人はいるかもしれません。また手振れ補正非搭載だったり、防塵防滴仕様じゃないこと、解放F値がもう一歩という点を見ると考えてしまうケースもあるかもしれません。なんせ富士フイルムの広角側には魅力的なレンズがそろっていますからね。
赤バッジのXF16-55mmや、ズームレンズのXF10-24mmあたりもライバルになると思うとつらい立場に置かれている印象もあります。
XF14mmF2.8 R はこんな人におすすめ!
▶【カメラのキタムラ】FUJIFILM XF14mmF2.8 Rをチェックする
- 軽量小型の広角レンズが欲しい人
- 広角の湾曲に頭を悩ませている人
XF14mm F2.8 Rは本当に素直な描写をします。どこまでも素直です。まるで炭酸水でも飲んでいるようなスッキリとした描写は、誰しもが好むところではあるでしょう。フットワークを活かして絞り気味にしてスナップに使ったり、旅先での風景や建物の撮影には最適だと思います。F2.8の明るさがあるので室内や、星の撮影だってこなせます。何に使っても気持ちの良いスッキリとした味わいなんです。
でも人間ですからクセのあるジンジャーエールが飲みたい時だってあるのです。パンチの効いたお味を頂きたい時があるのです。なのでここまで読ませて申し訳ないのですが、僕は最終的にXF16mm F1.4を選びました。
ただ当然ながらXF16mmを使っている時には、XF14mmの軽快さや、真っすぐの気持ち良さは得られません。できれば全部買えると良いですが、体は1つ、使えるレンズも1つ、予算にも限りがある・・・ということで全てそろえるのはなかなか難しいですね。だからこそ悩めて楽しいのですが(笑)
この記事がXF14mm F2.8 Rを検討している人に参考になれば幸いです。
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