富士フイルムのフラッグシップカメラ「X-H2S」を購入したのでレビューします。
新開発のX-Trans CMOS 5 HSセンサー、X-Processor 5を搭載し、AFの精度。速度ともに大幅に向上、約40コマ/秒ブラックアウト無しの連射に対応するなど富士フイルムの本気が伺える1台になっています。正直に言うと「自分には不必要なのでは?」と感じるほどですが、感覚のアップデートをかねて購入することに決めました。
実際に手にしてみた感想などを率直に書いています。
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目次
FUJIFILM X-H2Sレビュー
富士フイルムのX-H2Sは、裏面照射積層型約2616万画素のミラーレスカメラです。価格は31万円前後で富士フイルムのAPS-C機ではもちろん過去最高値…それに見合う性能を持ち合わせたカメラになっていると信じたい所存。
2012年に発売されたX-Pro1から10年、その節目に登場しているのですから期待していいでしょう!
新開発のセンサーと画像処理エンジンを搭載し、信号読み出し速度を現行比約4倍に高速化。大容量のバッファーメモリーを搭載することで、電子シャッター使用時の連写連続記録枚数が、JPEGで30コマ/秒、RAWファイルで20コマ/秒で1000枚以上の写真を記録できるとあります。そんなのカードがすぐに一杯になっちゃうじゃん(笑)
もちろん従来上位機同様に防塵防滴性能は搭載、手振れ補正システムは5軸で最大7.0段の効果を発揮。新AFシステムとしては「動物/鳥」「電車/飛行機/車」などの被写体を検出して追従してくれるようになりました。もちろん瞳AFも搭載されています。
動画機能としては、6.2K/30P、4K/120P 4:2:2 10bitの記録に対応。豊富な情報量を残せるので、より繊細な編集作業が行えるようになりました。動画撮影時のセンサー読み出し速度を 1/180秒まで高速化し、ローリングシャッター歪みを抑制。スローモーション撮影にも対応しています。
もともとX-T4ユーザーだったのですが、ファインダーを覗いた瞬間から、これまでとはちがう世界が広がっている感覚を味わいました。そして瞬時にピタリと吸い付くAF、シャッターフィーリング、写真の保存まで、全てがより直感的かつスピーディーに行えるようになりました。
こんなことになっていたのか富士フイルム…
YouTube動画レビュー
動画でも紹介していますので参考にしてください。チャンネル登録もよろしくお願いします!!
X-H2S 開封・外観チェック
開封の様子
それでは開封にお付き合いいただきましょう!イメージよりもコンパクトな化粧箱でした。
はい、パカっとな。
付属品はバッテリー(NP-W235)、ACパワーアダプター(AC-5VJ)、プラグアダプター、専用USBケーブル、ストラップ、ボディーキャップ、冷却ファン用の端子カバー、ケーブルプロテクター、使用説明書、保証書などです。
中華性のアクションカメラでも買ったのか?と思うくらいにガチャガチャと突っ込まれた付属品。キライじゃないです(笑)ストラップはX-H1のような肉厚タイプです。
ハイエンド機らしい質感
X-H2Sは全体的に高い質感を保っており、フラッグシップらしい丁寧な作りになっています。ボタンのクリック感とかも良いですね。
サイズは幅 136.3mm×高さ 92.9mm×奥行き 84.6mm(最薄部: 42.8mm)、重量は約660g(バッテリー、メモリーカード含む)です。X-T4がバッテリーとSDメモリーカード含んで約607gだったので、わずかに増加していることになります。特に厚さの部分ではちがいを感じます。
1.28型のサブ液晶モニターが配置。このサブモニターのおかげで設定をすぐに確認することができます。グリップもデカいので大きいレンズとの相性もばっちり!
液晶モニター
約162万ドット3.0型バリアングル式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニターを搭載。
チルト式を推す声があるのも知っていますが、この製品は動画も見ているからバリアングルが正解なんでしょうね。個人的にはどっちでも良い派です(ドーン)
冷却ファンを取り付けるためのネジが見えます。とりあえず保護フィルムは準備しておくと安心ですね!
高性能EVF
ファインダー倍率0.8倍、576万ドットのEVFを搭載。HシリーズやTシリーズは、これまでも見やすいと定評がありましたが、これまで以上にクリアで使いやすくなった印象を受けます。
それもそのはずで、仕様されているのは全て非球面レンズで新設計。アイセンサーの反応時間は約半分に短縮、120fpsに対応するなど、間違いなく富士フイルムで最高のファインダーが誕生したと言えるでしょう。僕自身、マクロ撮影なんかを好んで行うので見やすさは作品に直結してくるんですよね。
ファインダーを覗いてワクワクしている自分に気づくと「買って良かった」と思う気持ちが沸いてきます。
操作系
上面には撮影モードダイヤルが設置、シンプルな操作性で扱いやすくなっています。
これは一般的なミラーレスカメラにのような仕様で、いわゆる「富士らしさ」に欠いた作りというのは個人的には残念です。ガチャガチャとISOダイヤルや露出補正ダイヤルを触っているだけでもそれなりに楽しいし、なによりリッチな写真体験には欠かせない機能だと感じていたからです。
従来からのユーザーだからこそ「それは富士がやらないといけないの?」「前のままで良かったのでは?」と思う気持ちもあります…X-S10などの一部機種では、すでにこうなってきているので受け入れるしか・・ないのか。。
X-H2Sが写真だけを見ていないからこそなんでしょう。TシリーズやProシリーズには従来の仕様が残るようなので使い分けをしていくしかなさそうですね。
握りやすいグリップ
縦と横のサイズはX-T4とさほど変わりませんが、厚みに関してはX-H2Sが上です。しっかりと握れるグリップですので、取り回しが良く、腕や手首への負担も軽減しているように感じました。
その分、本体が重いと言えば重いのですが、しっかり握れる分だけ意外となんとかなってしまうんですよね。手振れ写真を減らす意味でも良いと思います。余談ですがシャッター音はとても上品です。
信頼のデュアルスロット
CFexpress Type Bカードと、SDカードに対応したデュアルスロットを採用しています。書き込み速度が上がっているので安心して連射できますね(笑)
バッテリーライフも改善
従来のX-H1を使った人ならわかると思いますが「とにかく電池がもたない」という爆弾を抱えていました。僕の周りでもX-H1ユーザーは多かったですが、予備バッテリーを常に2~3個は持ち歩いていた印象をもっています。(控えめに言ってみた)
それがX-T4と同一のNP-W235になったことで、ノーマルモード時で約580枚、エコノミーモードにすると約720枚もの写真を残せるようになりました。今回、2時間くらいのスナップ(200枚程度)で50%くらい減っていました。案外足りない気がしたので予備はあったほうが安心です。
AFについて
X-H2Sのアップデートの中でも、特に注目したいのはAFについてだと思います。
ハード面のアップデートはもちろんですが、AFの予測アルゴリズムの改善によって動体への追従性や、低輝度でのAF精度が大幅に向上したとアナウンスされています。
乗り物や生物への被写体検出力も大幅にアップしています。基本的には正面からの構図でしか認識しないのですが、一度認識したらしっかりと食いついてくれる印象を受けました。今度は鳥とか撮ってみたい!
僕は家族写真やスナップがメインなので、AF速度についてはそれほどこだわりが強い訳ではありません。それでも「確実性とスピード感が増している」ことは肌感覚で理解できます。発売日当日が悪天候だったため、野外での本格的な撮影には使えていませんが、今後野鳥などの撮影でガシガシ試していきたいと思います。
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X-H2S 性能・スペック表
名称 | X-H2S |
有効画素数 | 2616万画素 |
センサー | X-Trans CMOS 5 HS |
エンジン | X-Processor 5 |
シャッタースピード | 1/32000~15分 |
連写 | 40コマ/秒 |
ISO | 標準160~12800 |
動画 | 4K 59.94p |
液晶モニター | 3インチ(162万ドット) |
ファインダー | 0.5型有機EL(576万ドット) |
撮影枚数 | 約580枚 |
サイズ | 136.3x92.9x84.6 mm |
重量 | 579g |
カメラのキタムラ | >価格をチェックする |
X-H2S 作例紹介
X-H2Sの画質面はどうだろう?1日使ってみた感じだと、従来モデルよりも全体的にクリア感や解像感が増したような気がすします。特にノイズに関しては大きく改善したような印象を受けます。
バッキバキの猫様・・
今回は、アメリカンニューカラーを意識したとされる「ノスタルジックネガ」を中心に撮影しました。
ビビット感は抑えつつ、暗部の色ノリをよくしたチューニングが施されて、露出もそこまでシビアではないそう。社員の方が「色々撮ってもまとまる」と語っておられたのが印象的でした。→【X lab #18】フィルムシミュレーション徹底解説②/富士フイルム
緑が強めに出ているのでカラーを少しマイナスにふってみようかな?少しづつ自分の味付けを見つけていくのもカメラの楽しみですよね。
ACROSもいいんですよ…
X-T4のASTIAの発色が派手目に出る傾向があり、個人的には頭を抱えていたんですが、X-H2Sではそれ以前のやさしい発色に戻ったような印象を受けます。もっと使い込んでみないとはっきりしたことは言えませんが、これは嬉しい。
これらはXF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WRにテレコン(×1.4)をつけて撮影しているんですが、本当にストレスがありませんでした。
X-H2S メリット・デメリット
メリット | デメリット |
・高速かつ正確なAF ・多彩な表現力 ・強力な手振れ補正 ・豊富な動画機能 | ・金額が高い ・価格が高い ・購入ハードルが高い |
X-H2Sで評価したいのは、従来までの富士フイルムがもつ撮影の楽しさを継承しつつ、ストレス面を全面的に排除してしまったことです。AFは本当にピタっと合うし、歩きながら適当に構えてパシャリなんてこともできます(従来なら考えられなかった…)
シーンに合わせてフィルムシミュレーションや設定を模索するのも楽しいですし、本当に購入して良かったですね。ただ金額は高すぎです・・しかも中国製とあったのでゲンナリしてるんだ。。フラッグシップをうたうならメイドインジャパンにしてほしいよ(涙)
X-H2Sの感想まとめ
X-H2Sは間違いなく「富士フイルムで最強のカメラ」を名乗るに相応しいカメラになっていると感じました。
これまでの富士フイルムのように使用者に寄り添うような感覚ではなく、フルスロットルで被写体を絶対に追いかけてやる!という気迫のようなものをカメラからも感じました。簡単にフラッグシップという言葉は使えますが、気を抜けば一瞬で自分が置いていかれそうと感じるほどです(笑)
それでいて扱いにくさは全くないので安心してください。高精細で見やすいファインダーだったり、握りやすいグリップだったり、手振れ補正だったり、AFだったりと撮影者を置き去りにしない配慮もしっかりと感じます。多数のフィルムシミュレーションで表現を模索するのも楽しいですし、画質面やAFだけでなく動画撮影機能の大幅アップデートなんかにも注目したいモデルですね。
とにかく「なんでも1台で出来てしまうカメラ」が富士フイルムから登場したと思うと感慨深くなってしまいます。
すでに供給不足がアナウンスされていますので、気になっている人は早めに決断されることをおすすめします。「カメラのキタムラ」などでチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考リンク
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