ASUSのモバイルノートパソコン「ZenBook 13 OLED」(UX325) をレビューします。(製品貸出元:ASUS JAPAN 株式会社)
13.3型有機ELパネルを採用し、DCI-P3 100%、HDR対応、PANTONE認証取得など色再現性に優れたモデルです。CPUは最新のCore i7-1165G7になっておりパフォーマンスも十分!忠実な写真編集(RAW現像)を行うのもおすすめです!
ベンチマークソフトを使ってのパフォーマンスチェックや、使い心地などをレビューしていきますので参考にしてもらえると嬉しいです。
目次
ASUS ZenBook 13 OLED(UX325)レビュー
ASUSのモバイルノートパソコンZenBook 13 OLED(UX325シリーズ)です。
約1.14kgの軽量ボディ、最大画面占有率85%の4面狭額ディスプレイ、しかも有機EL採用というリッチな仕様。ぱっと見でも「明るい」と感じるほどのモニターで、品質の高さがうかがえます。Core i7採用でパフォーマンス面も十分ですし、最大13時間のバッテリーもちを魅力に感じる人もいるでしょう。
特徴をまとめるとこんな感じです。
- Core i7-1165G7搭載!
- 強めの内臓グラフィック!
- RAW現像やライトな動画編集もこなせる
- 約1.14kgの軽量ボディ
- 有機EL(OLED)の美しすぎるパネル
- 約13.5時間のバッテリー駆動時間
ラインナップ
型番 | 構成 | 価格 |
13.3型1,920×1,080(有機EL) Core i5-1035G1×8GB×512GB | 109,800 | |
13.3型1,920×1,080(有機EL) Core i5-1135G7×16GB×512GB Microsoft Office Home and Business 2019 | 164,800 | |
13.3型1,920×1,080(有機EL) Core i7-1165G7×16GB×1TB Microsoft Office Home and Business 2019 | 189,800 |
先行して第10世代Core i5-1035G1を採用したモデルが発売されていましたが(有機ELで10万円台はヤバすごい…)、今回レビューするのはその最も上位モデルです。新しく登場したモデルは、第11世代CPUやOfficeが搭載されているのが特徴です。
下位モデルでも有機ELパネルは採用されていますので、動画などのコンテンツ消費が中心というユーザーなら良いかもしれません。パフォーマンスやOfficeが必要なら最新モデルという感じですね。
YouTube動画レビュー
You Tube動画も作っていますので、合わせて参考にしてください。(高評価、チャンネル登録してもらえると泣いて喜びます)
ZenBook 13 OLED(UX325) 性能(スペック)
- OS:Windows 10 Home 64ビット
- CPU:Core i7-1165G7
- GPU:Iris Xe グラフィックス (CPU内蔵)
- メモリ:16GB
- SSD:1TB SSD
- 液晶:1,920×1,080ドット(有機EL)
- 重量:約1.14㎏
- サイズ:幅304mm×奥行き203mm×高さ13.9~14.9mm
ZenBook 13 OLED(UX325)は、軽量ボディに高いパフォーマンスと有機ELを搭載したリッチな仕様。価格は18万円台とさすがに高価です。(Core i5なら16万円台)詳しくは後述しますが、モニターの品質が凄すぎて購入理由としても十分通用するほどです。
カラーは落ち着きのあるパイングレー、薄型コンパクトなのでビジネスでの持ち運びに便利です。また、ダイヤモンドカットが施されており、エレガントさも演出されています。MIL規格にも準拠した設計のため、日々の様々な環境変化にも耐えるタフさを持ち合わせています。
サイズは幅304mm×奥行き203mm×高さ13.9~14.9mmで、明らかにコンパクトです。厚みも15mm以下なので、割とどんなカバンのスペースにも滑り込んでくれました。
背面の空気穴は控えめですが、そこまで熱をもつ設計でもないためか静かに作業できるのも好印象でした。
付属品
付属品はACアダプター、製品マニュアル、製品保証書、USBイーサネットアダプター、専用スリーブ、USB Type-Cオーディオジャックアダプターなどです。(貸出機のため内容物は異なる可能性があります)
目玉機能!13.3型有機EL(OLED)モニター採用
ZenBook 13 OLED(UX325)の目玉は何といっても、13.3インチOLED HDRディスプレイを搭載しているところでしょう。
DCI-P3 100%の広色域やHDRにも対応し、PANTONE認証を受けるなど表現力には自信を持っているモデルになります。メーカーによるとOLEDのカラーボリュームは従来の液晶ディスプレイと比べて最大1.6倍にもなるとか…
実際に見ても、発色がとても良いですし、引き締まった黒にも感動をおぼえます。また最大400nitの高輝度から0.0005nitの超低輝度まで対応し、表現力の豊かさが伝わってきます。
本格的な編集作業がノートパソコンのモニターだけで行えると思うとすごい時代になりました…モニターだけでも数万円の価値がありそう。。
僕のような明るい作風だと、ハイライト側の表現力に不満を感じるPCは多いのですがZenBook 13 OLEDは満足できるレベルです。できるだけ少ない投資で、高品質なモニターを手に入れたいなら本機は最適かもしれません。
実際に色域を測ってみたところ、sRGB 100%、NTSC 95%、Adobe RGB 98%、P3 100%でした。環境や測定機材によって違いが生じる可能性がありますので参考程度にしてください。
別途カラーマネージメントディスプレイを用意する必要もないほど映像クオリティは高いですが、この高品質なモニターに慣れてしまったら普通のモニターには戻れないでしょうね(笑)
キーボード
キーボード配列は、右側縦一列にキーが用意されていたり、上下左右が超コンパクトになっています。またそれぞれのキーは縦が短くなっているため、人によっては「打ちにくい」と感じるかもしれません。(僕はすぐに慣れました)
バックライトもありますし、大きなトラックパッドも作業をする上では助かりました。
インターフェース
インターフェースは、HDMI、Thunderbolt 4×2、USB3.2 (Type-A/Gen 1)、microSDメモリーカードリーダー、ヘッドホンジャックなどです。
ZenBook 13 OLED(UX325) ベンチマークテスト結果
Core i7-1165G7 性能チェック
4コア/8スレッドの第11世代Core i7-1165G7を採用しています。
参考までに他モデルと比較した例をご覧ください。(PASSMARKの公開スコアを掲載)
モデル | CPU | スコア |
ZenBook 13 | Core i7-1165G7 | 10605 |
Core i5-1135G7 | 10056 | |
Core i5-1035G1 | 7911 | |
DAIV 4N(従来モデル) | Core i7-10510U | 6960 |
DAIV 5P | Core i7-10750H | 12728 |
ZenBook 13 OLEDに採用されているCPUのスコアをチェックしてみると、スタンダードタイプのCore i7-10750Hと比較してやや劣るものの十分なパフォーマンスをもっています。メモリも16GB採用されていることからもある程度負荷のかかる作業に耐えられる設計になっていると予想できます。
一方で先行モデルのCore i5-1035G1は10000を切るスコアなので、オフィスワークやコンテンツ消費向けという印象です。
新登場したCore i7-1165G7とCore i5-1135G7に大きな差は見られなかったので、コストパフォーマンスを重視したい人はミドルモデルを選ぶのも選択肢としてありかもしれませんね。
RAW現像チェック
実行速度をチェックするためにRAW現像にかかった時間を計測します。
テストの内容は、無料現像ソフトの「RawTherapee」を使って100枚のRAWデータの一括変換にかかった時間を計測。(設定はJPEG品質は90%、高画質です)
モデル | CPU | 時間 |
ZenBook 13 | Core i7-1165G7 | 4分43秒 |
DAIV 4P | 3分37秒 | |
TUF Dash F15 FX516PE | Core i7-11370H | 3分21秒 |
DAIV 5P | Core i7-10750H | 4分12秒 |
RAW現像の処理は問題なく行え、ある程度まとまった枚数でもストレスなく処理できる印象をもちました。
モニターの優秀さもあいまって細かな調整でも気づくことが多く、編集作業を楽しい時間に変えてくれるのは本機のメリットだと思います。
ただしCore i7-10750HなどのCPUと比較すると実行速度は控えめなので過度な期待は禁物となっています。日常的に編集作業を行って「処理時間を縮める」ことを目的とするなら、もう少しパフォーマンスの高いモデルが良いかもしれません。
Iris Xe Graphics ゲーム性能チェック
ZenBook 13 OLEDにはIris Xe Graphicsが搭載されています。CPU内蔵ですがかなり強力にはなっています。
写真 | 動画編集 | ゲーム |
◎ | △ | △ |
FF15のベンチスコアを比較
重量級タイトルのFF15でゲーミング性能をチェックします。
モデル | 設定 | 結果 |
ZenBook 13 | 1280×720(軽量品質) | 3117(普通) |
Razer Blade 13 (GTX1650) | 1920×1080(標準設定) | 4271(普通) |
TUF Dash F15 (RTX3050Ti) | 1920×1080(標準品質) | 7558(快適) |
FF15のような重たいゲームは、設定をかなり落としてHD(軽量品質)にして動作するくらい。CPU内臓としてはグラフィック性能が高くなりましたが、本格的なゲームをプレイするには役不足と言わざるを得ません。
ゲームを快適にプレイしたいのであれば、せめてGTX1650、RTX3050あたりを選ぶほうが無難です。
動画編集チェック
動画編集能力をテストするために無料ソフトのResolveを使いました。ミラーレスカメラで撮影した4Kデータを使って簡単な動画を作成→レンダリング(FHD)の時間を測定しています。
モデル | パーツ構成 | 時間 |
ZenBook 13 | Core i7-1165G7×Iris Xe Graphics | 9分17秒 |
DAIV 4P | Core i7-1165G7×Iris Xe Graphics | 5分30秒 |
DAIV 5P | Core i7-10750H×GTX1650Ti | 3分20秒 |
TUF Dash F15 FX516PE | Core i7-11370H×RTX3050Ti | 3分15秒 |
動画の書き出し時間はかなり長く、10分近くかかることを考えても日常的に作業するのはおすすめしません。保険としてカット割りや、ライトな編集程度は行えるかも?くらいに留めておくほうが良さそうな気がします。
SSD転送速度チェック
ストレージの転送速度は、実測で読込速1900MB/s,書込速度 1700MB/s程度でした。パソコンやゲームの起動、インストールも速いので不満はありません。また容量も1TBと十分にあるので、即座に枯渇なんてことにはならないでしょう。
ZenBook 13 OLED(UX325)の総合パフォーマンス
続いては、CPU、GPU、メモリ(RAM)、ストレージのパフォーマンスチェックのために「Novabench」でテストします。
モデル | ZenBook 13 | DAIV 4P |
総合 | 2107 | 2162 |
CPU | 1293 | 1313 |
GPU | 355 | 379 |
RAM | 274 | 285 |
Disk | 185 | 185 |
ZenBook 13 OLED(UX325)と似たようなスペックのDAIV 4Pと比較しました。マウスコンピューターからは「クリエイトモデル」として販売されているモデルと肩を並べます。こうした背景からも一般的なモデルよりはパフォーマンスに期待できる(でも過度な期待は禁物)というのが本機の立ち位置になっています。
ZenBook 13 OLED(UX325)の感想・評価
良いところ
- 圧倒的な映像表現力
- 軽量ながら小気味よく動作する
- 描画性能もほどほどに高い
- 静かでモバイル性能も抜群
やはりというか、OLEDの表現力は一般的なモデルと比較すると圧倒的です。写真を撮った際の感動がそのまま再現されるような映像が楽しめるので、編集作業は思わず没頭してしまうレベルです。
軽量でバッテリー駆動時間も長く、静かでデザインも良い、これだけ好条件がそろっていれば注目せざるを得ないと思います。ビジネスからプロの持出専用機として幅広いシーンで活躍してくれるでしょう。
ちょっとイマイチなところ
- パフォーマンスは平均的
- 動画編集やゲームはやや厳しい
- 18万円は少し高いかも…
モニター品質を最大限に生かして編集作業をゴリゴリ行いたい!と感じる製品ですが、その実はパフォーマンスが伸び切りません。RAW一括現像や動画編集では少し時間がかかってしまうのは残念なポイントでしょうか。
少し重たくなっても良いのでもう一回り性能を強化してくれたら、より本格的なクリエイト作業で使えたのに…と思いました。またOffice搭載とは言え18万円という価格設定はハードルが高く、性能面が許すのであれば下位モデルを選択するのが最もコスパが良いような気がします。
ASUS ZenBook 13 OLED(UX325)をおすすめしたい人
- リアルな映像表現を楽しみたい人
- 静止画中心で作業を行う人
- RAW現像向けの環境を構築したい人
- 軽くて扱いやすいモデルが欲しい人
ZenBook 13 OLED(UX325)をレビューしてきました。
有機ELディスプレイの表現力は圧倒的で、息を飲む…というより息をするのを忘れてしまうほど編集作業に没頭できます(笑)ノートパソコンの表現力とは思えないレベルで、このモニターを手にするために購入する価値は十分にあると感じます。
ただし動画編集やゲームに対する適正は低めで、個人的にはRAW現像などの静止画を中心に行う人向けのモデルだと感じました。Office搭載とは言え、パフォーマンス面を考えると18万円というのはやや割高かも?
個人的には気持ちを落ち着けて(少し我慢して?)作業できる気持ちの余裕があるのであれば、最安モデル(109,800円)のASUS ZenBook 13 OLED (UX325JA-KG22ET)をおすすめします。有機EL搭載ノートが10万円で購入できるのは良い意味でヤバい…
参考
最後までお読みいただきありがとうございました。