32インチを超える大きな4Kディスプレイもずいぶん選択肢は増えてきましが、カラーマネジメントまでできるディスプレイと言えば候補は限られてしまいます
そんな中で、BenQさんから発売された「SW320」は、性能も良いのに価格は控えめ。作業効率や生産性を上げるために、27インチディスプレイよりもう1サイズ上が欲しいというニーズを満たしやすい製品です。
そんなSW320をBenQさんよりご提供いただき、一カ月ほどじっくり使ってみました。その上で使用感や気になったことを書いていきたいと思います。
目次
BenQ SW320の特徴
- 31.5型 4K UHDの高解像度
- IGZO技術を有したIPSパネルを搭載
- ハイダイナミックレンジ (HDR) 対応
- AdobeRGB99%カバーで発色が良い
- 10億色以上の10-bit対応でグラデーションが滑らか
- ハードウェアキャリブレーションに対応
- モノクロモードを搭載
- 遮光フード、OSDコントローラーが付属
- 3年間保証
BenQ「SW320」の外観デザイン
SW320は32インチサイズなので組み立ても一苦労でした。組み立て自体はシンプルなのですが、完全に重量的な問題です。
製品到着時はとても大きな段ボールで到着するので「家に入らないんじゃ?」と小さめの絶望感をほとんどの人が味わうでしょう(笑)
個人的に嬉しかったのは、ダンボールが二重の梱包になっていたこと。汚れや干渉から製品のダメージを回避してくれる運送用のダンボールの中に、満足度を高めてくれる化粧箱が入っています。(購入店舗によっては違う可能性があるので注意)
32インチは存在感がありますが、人間とは不思議なもので次第に慣れていきます。最終的に大きさや圧をさほど感じなくなっていました。むしろ、ディスプレイに表示されている映像に没頭できたのがうれしかったですね。
こうやってブログを書きながら、下書きを表示させて確認したりといったことが本当に簡単にできました。表示できる情報量が多いだけで、効率は段違いに上がった気がします。
遮光フード装着時
遮光フード付属をつけた様子。余計な光源をカットすることで自然な色で編集作業をすることができます。ガタつきはなく、良質さを感じます。
さすがにサイズが大きいので、デスクが大きめでないと設置すらできないと思います。撮影のために4人掛けのリビングテーブルにのせて撮影しましたが70%くらいは占領していました。最低でも横80cm、縦60cmくらいのスペースは欲しいです。スピーカーやデスクトップを再度に設置するなら120cmくらいはないと厳しそうです。
フードはバラバラの状態で送られてきますので、初見だとちょっと悩みます。「遮光フードの取り付け方法」については、BenQさんが参考動画を用意してくれています。
サイズ比較:32型は映画やゲーム目的でも楽しい
24型や27型と比較すると、32型が圧倒的に大きいのがわかります。特に他の製品はベゼルレスだからかもしれません。
その代わり迫力はお墨付きですし、クリエイティブ用途だけでなく、映画をたまに見るのも楽しいはずです。応答速度も5msですし、編集作業+ゲーム目的で選ぶ選択肢としてもありでしょう。
僕もFPS(動きの激しいアクションゲームだと思ってもらえばOK)で遊んでみましたが、没入感は最高で手に汗にぎりました。ただ画面全体をすべて把握することが困難になるため、相手に先手を取られることが多く解像度を少し落としてプレイしました(笑)この辺は遊びたいゲームによって選ぶ必要がありそうですが、オープンワールド系のゲームなら相性がよさそうです。
ディスプレイが低い位置までもっていけるのがGOOD!
個人的にSW320で気に入っているのが、ディスプレイがかなり低い位置までもっていけるということ。ちょっとしたことですが、ディスプレイのためにスペースを最大限活用することができます。また首振りの自由度もあるので、ノートパソコンのように見下ろすような姿勢をとれて楽でした。
組立・設置はサポートしてくれる人がいたほうがいいかも?
大きな部品は「ディスプレイ」「スタンド」「」組み立ては、説明書などを読むまでもなく直観的にできましたので心配無用でしょう。ただフードまで含めると重さが18kgを超えるので負担は小さくありません。ハンドグリップのありがたみを感じました。
ロゴやボタン類の主張も激しくないので、気がそがれる子tもありません。電源が入っている時は、一番右の電源ボタンのみ白に点灯します。
インターフェース
SW320のインターフェースは「HDMI」「DisplayPort」「miniDisplayPort」がメインです。Type-Cに対応していないのが少し残念なポイントですね。必要な人はSW271を購入するほうが良いでしょう。
Hotkey Puckで切替が楽ちん
BenQの一部モデルには、最初からHotkey Puckという外部コントローラーが付属されています。sRGB、AdobeRGB、モノクロをボタン1つで切り替えれる他、上下左右やリターンもあるので、ディスプレイを好みに合わせて設定することができます。
BenQ SW320の良いところ
Adobe RGB99%の広色域ディスプレイ
SW320は、Adobe RGB99%をカバーしているモニターです。色の再現能力が高く、リアルに近い映像を見ながら編集ができます。そのためイメージ通りのプリントをすることができるので、作品作りにも役立ちます。
32型というサイズ感も手伝って、小さなことに気づきやすいのも魅力的です。写真を並べて比較するといったことはフルHDのディスプレイでは厳しいですが、4K解像度のSW320なら可能です。
ハードウェアキャリブレーションに対応
モニターの状態というのは日々変化します。だんだんと色がズレてくることもあるので、それを調整してやる必要があります。それを「キャリブレーション」と呼びます。こうしたプロフェッショナルなディスプレイを選ぶ人なら、性能(作品品質)の維持のためにも月に1回程度キャリブレーションをかけた場合が良いでしょう。
SW320では「Palette Master Element」というソフトと「キャリブレータ」を使用することで、ディスプレイのカラーパフォーマンスを最適な状態に調整、維持することが可能です。
▼Palette Master Elementの画面
HDR対応
黒から白までのダイナミックレンジ全体を広げるハイダイナミックレンジ(HDR)にSW320は対応しています。
よくある写真のHDR合成(やや派手)とは異なり、シャドーとハイライトが自然に広がっているので、見た目に近いリアルな映像を楽しむことができます。太陽のような強い光源があるシーン、夜景、など明暗差の大きいシーンで恩恵が得られます。
BenQ SW320のイマイチなところ
とにかく大きい
32型の4K解像度ディスプレイで、ハードウェアキャリブレーションに対応しているというだけでSW320の存在価値はあります。しかし20kg近い重量や、その存在感は消すことができません。いくら良いスペックをもっていても、一般レベルでこのディスプレイが必要な人は多くはないでしょう。
取り回しを含めて考えると27型のSW271がちょうどよい製品に仕上がっているようにも感じます。
価格を抑えたいなら、解像度がWQHD(2560x1440)と少々犠牲にはなりますが「SW2700PT」を選択するという手もあります。肝心の色表現はほぼ同等ですし、価格はぐっと抑えられます。
こんな人におすすめ
- 写真編集用にコスパの良いディスプレイが欲しい人
- 27インチ以上のカラーマネジメントディスプレイを検討している人
- 4K UHD対応モデルが欲しい人
- 映像やゲームなど幅広く使いたい人
世間的には根強い人気の27型ディスプレイですが「もう少し大きいのが良い」「迫力ある映像を楽しみたい」という欲求もないわけではありません。特にクリエイティブな世界に生きる人なら、より良い製品に触れて、自分のコンテンツ作りに活かしたいという人も多いでしょう。
しっかりと色再現ができて、解像度も高く、長期的に品質を維持できると言う意味ではSW320はおすすめです。もし他のディスプレイが気になるということなら「BenQのカラーマネジメントディスプレイ全比較」という記事も書いているので参考にしてください。